ヒュッゲの森

ヒュッゲの森

設計:橋爪賢一

22.01.11

ヒュッゲの森


ご家族が暮らす住居と、別棟でワークスペースを建築するプロジェクトです。
オーナーは既に移住され賃貸生活を始められています。
敷地は八ヶ岳南麓に求められました。

写真は昨年9月の様子です。ケヤキが林立しまるで公園の様です。
この恵まれた環境を出来るだけ活かしたい、素直にそう思いました。
多少高低差はありますがそれもポジティブに受け止められる程の可能性を持っています。

オーナーはこの場所を「ヒュッゲの森」と命名しました。
ヒュッゲとは、デンマーク語で「居心地がいい空間」や「楽しい時間」という意味で、
デンマーク人が大切にしている時間の過ごし方や心の持ち方を表す言葉です。
日常の小さな幸せを意識したり、日々丁寧に暮らすといった根底的な意味も含まれます。

人間が居心地が良いというだけでなく、動物も、昆虫も、植物も居心地が良い場にしたい。
まずは樹木の位置と高低差を測り、全体計画から共有していきます。

橋爪@PDO

22.01.24

プレゼンテーション ―ハニカムの可能性―


ヒュッゲの森の大樹は葉を落とし、静かな冬を過ごしています。
まずは樹木1本1本について位置を測り、敷地の高低測量も行いました。
住居とワークスペースの居住性を考慮しながら、ケヤキを取り囲むように配置していきます。

ワークスペースには研修利用を想定して寝室やキッチン、リビング空間を設けます。
これらの機能をLife棟としてまとめ、ワークスペースとなるWork棟を屋根付きのウッドデッキで繋ぎます。
キーワードは「Life&Work」。ONとOFFをはっきりさせず、それぞれが緩やかに繋がるイメージです。

ここは単に仕事をこなす場所ではなく、対話や交流の場でもあります。
建築も効率的で無駄のないものよりも、イマジネーションが湧き象徴的な空間をご希望されました。
PDOのうずまきスタジオがまさにイメージ通り!六角形のハニカム空間のご提案です。

広いウッドデッキはイベントスペースにも使います。
日中はケヤキの木漏れ日の下で、夜は炎を囲みながら、時間を忘れて過ごせるような施設になりそうです。

橋爪@PDO

22.06.28

景色を切り取る ―インテリアパース―



住居棟とワーク棟、2棟の間に広がるケヤキ林はこの敷地の大きな魅力です。
室内から外の景色がどう見えるのか、どんな空間になってどんな素材を使うかなど、
立体的に検討するためインテリアパースを起こします。

ケヤキは樹高が高いので高窓を設けると効果的です。
ダイナミックに外の景色を取り込みつつ、
隣家や道路といった隠したいところは窓を避けて壁面にしていきます。
オーナーと空間イメージをすり合わせながら基本計画をまとめます。

橋爪@PDO

22.08.28

マテリアルイメージ


施設棟は住宅と違い不特定多数の人が利用します。
そのためコンセプトを重視しつつも収納や清掃のしやすさといった裏動線の検討も欠かせません。

間取りが固まったところでマテリアルの打ち合わせを行いました。
全体的に淡い色合いでまとめ、窓から見えるケヤキ林と優しく繋がるイメージです。
心安らぎつつも凛とした空気感を目指します。

橋爪@PDO

22.10.27

緑のデザイン ー機能的植栽ー



工事契約へ向けた打ち合わせの後、現地へ赴き建物配置を確認いただきました。
南側には空き家になっている建物があり、ワーキングスペースからの視界に入ります。
完成は来年の夏、工事中にまずは第一弾の目隠しの植栽工事を予定しています。

細田@PDO

22.11.03

地鎮祭 ー晴れの佳き日にー



雲一つない澄み切った青空の下、十五所神社の宮司に来ていただき、地鎮祭を執り行いました。
氏神さま(八ヶ岳神社)と屋根の神さま、土地の神さまに安全に無事に建物が完成することをお願いしました。



この地、ヒュッゲの森で暮らす子供たちも一緒に玉串奉奠です。

細田@PDO

22.11.30

水盛り・遣り方



各種申請が終わり、工事の届出を済ませました。
現場で建物の設計GLを決め、正確な位置出しをする水盛り・遣り方を行いました。
いよいよ着工です。

細田@PDO

22.12.14

六角形の基礎



地盤調査の結果は良好でした。
50cmも掘れば充分な耐力が取れる程盤石な地盤ですが、
その分地中からゴロゴロと石が出てきました。

まずは基礎の形に土を掘り、位置出しのためのコンクリートを打ちました。
すると六角形のラインが姿を現し、早くもワークスペースの形が見えてきました。
ここはケヤキを眺め、デッキに繋がる施設の象徴的な場所になります。

空間が見える前から期待が高まります。

橋爪@PDO

23.02.03

プレカット打合せ


柱や梁といった構造材は材料の調達や加工に時間がかかります。
そのため基礎工事が始まると同時に関係者で集まり打合せを行います。

設計、現場、木材調達、木材加工、それぞれの立場で意見を出し問題点を洗い出します。
目指す所が同じなので話が早く、密度の高い打合せとなりました。



図面やパースでチェックしながら進めます。

橋爪@PDO

23.02.13

外観模型


週末はこの冬一番の積雪でした。
現場周辺でも20cm程積もりましたが、
日曜日の気温上昇でかなり解けている状況です。

この日はオーナーに外観模型をご覧いただきました。
図面では分からなかった2棟の関係性や敷地の傾斜など一目瞭然です。
模型を眺めながら外壁の色味や外構計画についても話が出来ました。


打合せが終わり外に出ると雪だるまが出迎えてくれました。
オーナーの子供たちによる力作です。
洋服は雪で真っ白!
雪遊びを満喫して帰られました。

橋爪@PDO

23.02.27

配筋検査


2月後半になると徐々に過ごしやすい日が増えてきました。
春がもうすぐそこまで来ています。

木材加工と並行して基礎工事を進めています。
順調に鉄筋が組み終わり配筋検査です。
社内検査の後、第三者機関の確認も無事終わりました。
まずは1回目のコンクリート打ちを行います。


施設棟はまもなく基礎完成。
ケヤキを囲う配置に期待が高まります!

橋爪@PDO

23.03.09

祝・上棟!



ケヤキは扇を広げた様な樹形が特徴的ですが、
葉を落とした今の時期はその姿がとても良く分かります。

木々の間を縫うようにして建物が建ち上がりました。
木漏れ日が建物にかかり、自然の演出が加わります。


日が傾き逆光で見た外観もまた雰囲気があります。
1日を通して様々な表情を見せてくれます。

橋爪@PDO

23.03.13

屋根架構 ーヘキサゴンー



ヒュッゲの森に立つワーク棟の屋根。
うずまきスタジオと同じ六角形で構成されています。下から見上げると美しい架構が見えます。

生物から無生物まで自然界に存在する六角形。蜂の巣や雪の結晶、岩石柱などに見られます。
小さなエネルギーで大きな効果が得られる特別な形で、自然がつくり出す最も安定した構造と言われています。

ワーク棟は人が集まり、影響し合いながらそのエネルギーを生かす場。
この場に相応しいかたちなのです。

細田@PDO

BY NATURE'S DESIGN  〜大自然のかたち〜

23.03.28

上棟打合せ ―現場で決める―


オーナーご家族は都会から仮住まいへ移住され、
建物が出来ていく様子を間近でご覧になっています。

この日は内外装の色決めにお越しいただきました。
六角形の空間など図面で理解し難かった箇所も実物を見れば一目瞭然です。
保留にしていた壁の板張りや壁紙の色分けもスムーズに決まりました。

グレージュカラーを基調にしつつ、
古材の力も借りながら空間を作っていきます。

橋爪@PDO

23.04.08

祝・上棟! 



住居棟の建て方2日目。
昨日は雨天で作業を中止し、本日青空の下、大工衆6人で作業を再開です。昼前に住居棟も無事に上棟しました。



施設棟は屋根葺きを進めています。



細田@PDO

23.04.28

木工事すすむ



建主に木工事が進む現場にお越しいただきました。
ケヤキの大木を囲むように施設棟と住居棟が建っています。



施設棟は仕上げ関連の確認、住居棟はタイルや電気配線などを中心に打ち合わせをしました。空間が見えてくる中で決まってくることもあります。
ディテールやカラーコーディネートにもこだわりながら細部も決定していきます。


細田@PDO

23.05.10

古材搬入


現場にケヤキの古材が搬入されました。
カウンターや飾り棚、アクセントウォールに使う計画です。

長い年月を経て生み出された表情は1枚1枚異なります。
グレージュカラーのインテリアとの対比もあって豊かな表情を加えてくれそうです。

新築なのにどこか懐かしい、
まさにヒュッゲの森にふさわしい素材です。

橋爪@PDO

23.06.15

色彩と質感 ーペイントー



ヒュッゲの森のLife棟、宿泊スペースにはそれぞれテーマカラーを設けています。



オーナーが見つけてきた鎌倉の「COAT LAB」という会社の下地クロスに塗るペイントですが、独特の質感と色合いが特徴です。

仕上がりがとても楽しみです。

細田@PDO

23.06.22

手描きパース


施設棟は宿泊機能付きコワーキングスペースとして今年8月にオープンします。
オーナー自身も去年から移住して多方面で準備を進めている状況です。

クラウドファンディングでイメージを伝えるため手描きパースを作成しました。
フリーハンドの線と優しい着彩がヒュッゲの森にふさわしい表現です。
今にも賑やかな声が聞こえてきそうです!

橋爪@PDO
※作画:手描きパース工房

23.07.01

ファサード ーけやきの森を背景にー



現場は木工事の終盤、並行して仕上げ工事を進めています。
ファサードとなる外壁はレッドシダーを採用し経年変化を楽しみます。



けやきの森の緑に馴染む色合いです。

細田@PDO

23.07.17

ヒュッゲの森へ



冬の基礎工事という、細心の温度管理が求められる中で始まった工事でしたが、
職人の知恵と経験も借りながら無事仕上げ段階まで進みました。

グレージュカラーのマテリアルが自然で優しい空間を作り出しています。
ウッドデッキが完成すればケヤキ林との繋がりもより一層増すことでしょう。

完成まであと少しです!

橋爪@PDO

23.07.25

色彩に包まれる





ヒュッゲの森は宿泊機能を持っています。
1人部屋、2人部屋、4人部屋があり、
それぞれに違ったカラーペイントがされています。

あくまで寝室なので派手過ぎてはいけませんが、
落ち着いた色味と質感によって部屋ごとに個性が出ています。

2段ベッドや勾配天井といった空間体験と合わせて、
どの部屋も泊まってみたくなるような仕上がりになりました。

橋爪@PDO

23.08.02

経年変化を楽しむストーブ



ケヤキを囲うように、ゆったりとした広さのウッドデッキが完成しました。
木漏れ日が落ちて居心地の良いスペースになっています。

ファイヤープレイスとして4面ガラスのテラスストーブも設置しています。
コールテン鋼で出来ているので時間と共に暗褐色へと変化していきます。
サビによってサビの発生を抑制する特徴があります。

ウッドデッキはイベントスペースとしても計画されています。
人と人が繋がり、コミュニティとして広がっていくような地域のハブとなることも期待できます。
今後の企画が楽しみです!

橋爪@PDO

23.08.14

ヒュッゲの森 ーHostel&Workspaceー



八ヶ岳南麓に位置する「ヒュッゲの森」は植栽工事も終わりプレオープンに向けて準備を進めています。



ワーク棟にはテーブルや椅子も入りました。



ライフ棟はグリーンや小物が設られて居心地のいい空間ができあがっています。



企業でのチームビルドやPDOでも創業時から大事にしているダイアローグの場としても最適です。
自然に囲まれた環境の中で自分の中の内なる自然と対話をしてみてください。

細田@PDO

23.08.18

間のデザイン


施設棟が完成し、住居棟もウッドデッキや建具など一部を残すのみとなりました。
2棟の間をケヤキ林が気持ちよく繋いでいます。
土になっている部分は芝を張り、畑スペースも設ける計画です。
日当りが良いので生育も良さそうです。


住居棟のリビングから見た施設棟。
お互いを感じながら、植栽によって程良く視線がカットされています。

橋爪@PDO

23.10.17

ケヤキとの共演 ―竣工写真―


植栽工事が終わり1ヶ月半程経過しました。
芝生もすっかり馴染んで施設棟と住居棟が緑で繋がっています。
紅葉が始まり季節の移ろいを感じながらの写真撮影となりました。





太陽光が水面の様な木漏れ日となって室内に注がれます。
ケヤキ林と一体となった住まいは環境との繋がりを感じることが出来ます。






ヒュッゲの森にふさわしい、居心地の良い空間が完成しました。

橋爪@PDO