せぎの家

せぎの家

設計:中村大補

16.10.14

完成!―せせらぎの音につつまれて―

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「まるで船のようですね・・・・」写真家の松村誠さんは言いました。
二つのせぎにはさまれた土地にはそれにふさわしいスケール感の家が良いと思いました。
土地の持つ背骨ラインに従って曲がった平面形です。
アプローチの進入路からの遠景ではこの家は本当に小さく見えます。
そこがねらいでした。
車をカーポートに滑り込ませ、玄関ドアを開けると・・・、
複雑に織りなす空間が拡がり、二つのせぎが合流する笹の原を見通します。

そんな笹の原からこの家を見上げると、確かに船のようです。

中村@PDO

16.09.12

造る「せぎ」

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敷地から産出した石を利用して、道路からの侵入水を導く「せぎ」をつくっています。
木口君が悩まし気にしゃがんでいるポイントに大きな岩を据えてもらいます。
逆に蛇行の内側となる部分の石はできるだけ小さく存在感のないものに
取り換えてもらいます。
自然を真似ることはとても難しいことです。

中村@PDO

16.08.25

こだわりのフォルム〜火入れ式の主役

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冬をまたいでの長丁場となったせぎの家。
無事引き渡しの日を迎え、本日は火入れ式です。

計画の早い段階から決まっていたドブレのヴィンテージ50。
オーナーご夫妻は、そのフォルムと立ち姿に一目惚れでした。
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床の自然石や背面壁のレンガは、ストーブのための脇役。
ふさわしい場が整えられてこそ、その魅力も引き立ちます。

自然環境と建築、インテリアデザインと暮らし。
相互関係性の先でデザインは進化を遂げるのです。

細田@PDO

16.08.01

続・木建

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ガラスが入るときを待つ、木建。
そこは内と外との境界線でもあります。

光や風を取り入れ、視線を抜く。
冬の寒さから家族を守り、時に開け放たれて子供らは自然と遊ぶ。

環境の中に佇む建築。
デザインは家族の数、敷地の数だけ存在しても、伝えていきたい流儀はただひとつ。

細田@PDO

16.07.26

現場視察〜木建(もくたて)

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美濃戸高原のある甲信越エリア。梅雨明けはまだですが、ちびっ子達はすでに待望の夏休みに突入です。
ご家族で海辺への移動途中に、足場のはずれた現場の視察も兼ねてお立ち寄りいただきました。

こだわりのストーブと共にせぎの景色を取り込む、最大の見せ場となる木建(もくたて)の造作工事が大詰めを迎えています。

細田@PDO

16.07.22

足場ばれる―最終段階へ―

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外部の仕上げ工事が終わりました。
足場がはずされ清々とした外観が現れました。
昨年の建て方から冬眠期を経て夏に至りました。
感無量、といったところです。

さて、明日からはいよいよ外部配管の設備工事に入ります。
賑やかになってきます。
交通整理が肝要です。

木口@PDO

16.07.18

庭計画 ―ファンキーなせぎ―

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いよいよ家の完成は近づいてきました。
週明け早々には足場も解体されます。
気持ちは外構のデザインに向いていきます。

両側を「せぎ」が囲む三角州が特徴の敷地です。
この三角州は丘状になっています。
その尾根ラインに沿って曲がった平面形の家です。
様々な角度の開口部が環境と関係を持ちます。

もう一つの特徴、大雨ともなると道路が川と化し敷地に流れ込みます。
これらをいかにランドスケープデザインに活かすか、これもおおきなテーマです。

生活シーンをイメージして窓からの視線の先にある人工物(隣家)を
効果的に遮蔽するために配する植樹をデザインします。
どの目線でその樹をめでるのか?それで樹種が決まってきます。

難しいのは侵入する表流水をいかにいなすか?涸沢をデザインしましょう。
普段は涸沢でも雨ともなると小川になる、そんなことは自然界では当たり前。
川はなぜ蛇行する?その理由がわかっていればデザインが出来ます。

水辺の野草を育成したり、笹の原を復元したり、
住み手自身の仕事もたくさんあります。
デザインはまとまりました。

中村@PDO

16.07.12

境界をデザインする

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内と外をつなぐ開口部。
そこには窓があり、その環境で求められる要素を検討して、ロールスクリーンやブラインドなどを取りつけることが多いです。

機能性(日射・断熱・視線などのコントロール)'、デザイン性、メンテナンス性。
相反することとの折り合いのつけ方。

現場視察でご夫妻にお越しいただいたタイミングで、専門家のアドバイスを聞きながら打合せをしています。
その場で考える、感じることを大切にしています。

細田@PDO

16.07.07

外壁杉板張り―合理的デザイン―

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天候不順で遅れていた杉板張りが進んでいます。
上部の庇のない壁はガルバリューム鋼板張りです。
色は「スチールブラック」。
下部は下屋でしっかりカバーされていますから杉板張りです。
色は生地仕上げ。
かたち、素材選びは合理的デザイン手法によっています。
材質と色のバランスがとても良く格好良くどことなく
愛らしい雰囲気をもかもしだしています。
日に日に家の表情が豊かになっていっています。

木口@PDO

16.06.23

板金工事―梅雨の合間をぬって―

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今年の梅雨は予測がつきません。
朝降っていたかと思ったら日中は晴れ。
板金屋さんも工程やりくりに苦労しています。

「せぎの家」のフォルムは複雑です。
敷地の両脇に流れる「せぎ」の蛇行に沿って、家の背骨も蛇行しています。
それと交差するように水平線を強調した下屋。
板金屋さん腕に見せどころ!なんて言ったらひんしゅくをかいます。
「他人事みたいに言わなんでけろ!」
3人がかりで丁寧に仕上げていきます。

中村@PDO

16.06.03

造作家具職人打合せ

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オーナーとは何度も何度もメールでのやり取りを積み重ね、
ようやく設計内容も確定しました。
日常の生活に一番関係することですから慎重に検討をいただきました。
今日は家具職人の三橋さんと詳細な打合せを行いました。

設計意図など全てを伝えると共に合理的な製作のアイデアも交換しながら、
密度の濃い打合せをしました。
大工、電気、設備職人ともよく連携を取り製作を進めていきます。

PDO@木口

16.05.25

吹付け断熱工事完了

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断熱工事を実施しました。
天井、壁、基礎が隙間なく覆われました。

グラスウール等、繊維系断熱材の持つ欠点を補う工法として
私たちは硬質ウレタン吹き付け工法を採用しています。
木材の伸縮に追従し、経年の劣化もないので長期に亘って性能を維持できます。
C値、いわゆる気密性も同時に得ることができます。

夏でも冬でも、森の中の快適な室内環境を目指します。

木口@PDO

16.05.02

屋根葺き

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防水下地のアスファルトルーフィングが張り終わり、屋根板金工事が始まりました。

難易度の高い箇所は詳細に打合せをして万全な状態で工事に臨みます。

親方、若手で0.4mmの厚いGL鋼板をものともせず、どんどん葺いていっています。

木口@PDO

16.04.19

天窓はいらないでしょう。


オーナーが着工時点でご希望されたこと、「玄関前が暗いので天窓を」。
確かに図面だけ見ると、大きく張り出したカーポート庇は玄関前を暗くしているように思われたでしょう。私は「そんなことはない」と、そのとき思っていました。

屋根の下地板が一通り張り終わりました。いよいよ説明するタイミングとなりました。
「天窓いらないでしょう?」確かになくてもよいね、と言う事になりました。

中村@PDO

16.04.15

タイル決定!

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冬を越えて、現場にも職人を戻しました。オーナーご家族にもおいでいただき、懸案だったタイルの決定会議です。冬の間にさまざまにメールを通じて意見交換を進めてまいりました。サンプル取り寄せは段ボール箱いっぱいにもなりました。
 
今日はどうしても決めていただかなければいけません。最近はタイルメーカーも在庫しなくなりました。早め早めに予約注文をします。事前のやり取りが功を奏しすぐに決まりました。
 
七宝焼きのように美しい色タイルは水回りに、スレート石床のリビングの薪ストーブ背面は古レンガで。
 
中村@PDO

16.04.01

再開!

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昨年末の建て方より工事休止期間を経て工事が再開されています。
 
建物を包んでいた、ブルーシートが徐々に剥がされ屋根、外壁の構造用合板を張っています。
 
まだまだ寒い日はありますが着々と工事は進んでいきます。
 
木口@PDO

16.02.22

マテリアル打ち合わせ

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冬季休工中を利用して、マテリアル打ち合わせを行いました。
 
東京都内に、やはり建築家の手による正統派の木造住宅にお住まいです。「せぎの家」ではあえてその住まいとは違ったマテリアルで構成したい、それがご希望です。
 
漆赤色のリノリュームをキッチン床に、コンロ正面と薪ストーブ背面壁を辛子色にして連続性を。造作家具扉材はメラミン板チャコールグレーにしてあえて無機的に。天板はテーブルに合わせてブラックチェリーで素材感強調・・・・、などなど、こだわりにこだわりぬく打ち合わせでした。
 
その間、ちびっ子たちは・・・・・。おとなしく、トム&ジェリーを視聴していました。
 
中村@PDO

16.02.15

もくたて納まり図

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せぎの家では雪と氷に閉ざされた今は工事を休止しています。無理にできないことはないでしょうが職人を危険にさらすことは避けたいです。
 
そうしたことなので、追われることなくじっくりと納まり、仕上げイメージを検討する時間があります。
 
気密性能をある程度犠牲にしてでも、「もくたて」、木で手造りするフルオープンのコーナー開口部は、メイン渓流風景を取り込むこの家の重要な部分です。
 
数々の失敗経験を踏まえ、可動部の大きさ、気密処理の仕方、木材変形への追従などなど、設計技術の結集ともいえる納まり検討です。
 
ポイントはアルミ製枠のロールアップ網戸をどのように隠してしまうか?もくたて特有の框のごっつさをいかに隠すか?ですね。
 
中村@PDO

15.12.23

祝上棟!

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天候に恵まれ暖かい日差しが降り注いでいる中、大工衆により無事上棟完了しました。
 
この日のために何度も打合せ、検討を重ねました。一つの問題もなく構造材は組み上がりました。

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年内は屋根下地防水シート張り、外壁、構造合板張りまで進めます。その後ブルーシートでラッピングです。春が来るまで工事は休眠します。
 
木口@PDO

15.12.23

特等席の視線

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オーナーご家族が上棟後の確認にいらっしゃいました。
 
森の果てまで続くせぎ流域の景色。ソファを据える予定のポイントから皆で観ます。大きくコーナーに開放する木製の建具は職人が手造りします。
 
笹と原生カラマツの幻想的な眺めは、そのままリビングの石の床と繋がり、風景が室内に入り込んできます。デザインの狙いは正しいようです。
 
シートですっぽりとラッピングして、工事は3月になるまで休止します。こんなに暖かく、雪も皆無の年なら、そんなことをしなくてもよかったでしょうか?
 
いえいえ、この次の日に来た大寒波で、結局例年通り現場は雪と氷の世界に入りました。
 
中村@PDO

15.12.16

土台敷き

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例年よりも暖かい気候の中、木工事が開始されました。今日は土台敷きを行っています。基礎コンクリートの上に土台材や大引材を設置していきます。アンカーボルトでしっかりと基礎と緊結した後に構造用合板を敷き詰めプラットフォーム状にします。建て方作業を安全にするためでもあります。
 
明日の足場組、明後日の建て方まで天候の崩れは心配なさそうです。
 
木口@PDO

15.12.01

型枠外し

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今年の冬は到来が遅れました。結果的に言えばその分だけ基礎工事は楽だったかもしれません。
  
せぎの家でもコンクリート打設の日は雨でした。この時期としては雪またはみぞれになってもおかしくはなかったのです。施工管理の立場からすると、気象情報から片時も目が離せません。今は雨でも気温が急降下して雪になるなんてこともありうるからです。それにより、凍結防止の養生戦略が変わってきます。
  
最近の気象情報の精度はすごいですね。予報通り2日間気温は下がらず雨でした。打設後雨が降るのは好ましいことです。型枠に適度な水分があると硬化の水分も奪われることもありません。強度の高い表面の仕上がりもよいコンクリートとなります。
  
打設からしっかり5日間の存置をとり、今朝から型枠外しをしています。鏡のようなきれいな仕上がりです。根入れ確保のために埋戻し土の計画を工事担当者に慎重に指示します。
  
中村@PDO

15.11.21

プレカット打合せ

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建て方に向けて八ヶ岳スタジオで現場スタッフ、大工、プレカット技術者を交え柱・梁の構造部材のプレカットの打合せを行いました。全員揃って打合せを行うことにより気づかなかった事も気づき間違いの無い、高精度な家が出来上がります。
  
今回の打合せ内容をプレカット図に反映しPDOの承認後、加工に入ります。
  
木口@PDO

15.11.13

美しい基礎

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基礎工事に対して、美しいという形容詞は適切な表現ではないかもしれません。
  
でも、現場を訪れた時、思わずその言葉が口を衝いて出ていました。
  
基礎に求められる安全性や耐久性を担保する、設計基準をクリアするための技術力や精度。
  
当たり前のものを満たした上で、そこに込められた職人たちの魂が感じられる仕事です。
  
細田@PDO

15.11.11

根伐り底確認

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せぎの家敷地は二つのせぎに挟まれた三角形です。初めて訪れたとき直観的に思った家の背骨、軸線はせぎに沿ってくの字に曲がったものでした。それは山で言えば稜線のように盛り上がった線なのでした。
  
その軸線に沿って建築すれば、伏流水の影響はありませんが、心配なのは巨石群列である可能性です。当然難工事となります。5ポイントの事前の地盤調査では巨石の存在はないようです。それでも心配でした。
 
結果、かなり固い礫混じりの粘土層でした。とても良い安定した基礎地盤です。
  
中村@PDO

15.11.03

基礎工事開始!

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伐採が終わり敷地の起伏特性がより明確になりました。
  
根伐り(掘削)に先立ち、基礎工の長田さんと配置、基礎の高さ、設計意図の確認を行いました。地盤調査結果に基づく各ポイントの床掘(とこぼり)深さも重要です。工事重機が立ち入らない地被の保護エリアの指示もします。
  
確認、打合せが終わりさぁいよいよ基礎着手です!
  
木口@PDO

15.10.26

伐採工事

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基礎工事に先立ちカラマツなど支障木の伐採工事しています。特殊重機を使い3人の職人が手際よく進めています。
  
伐採が進むにつれ今までと違う視線の抜けが感じられるようになってきました。
  
木口@PDO

15.09.25

床鎮めの祭り

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前日には工事契約も滞りなく終わり、着工に先立ち、土地の神様を鎮め、土地を利用させてもらうことの許しを得ました。
  
お神酒、塩、洗い米を用意し、ご家族で参加していただき、工事中の安全とご家族の健康、
この環境に相応しい家の完成を祈願いたしました。
  
細田@PDO

15.09.09

伐採打合せ

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現場で伐採・伐根範囲の打合せです。車路や基礎工事に絡むところは伐根まで行います。
  
必要以上に伐根を行うと処理費用がかさみますし、敷地に穴が開いたり、土砂が流れてしまうこともあります。
  
重機で必要以上に植生にダメージを与えないよう作業の際は細心の注意を払って行うように指示します。
  
細田@PDO

15.08.10

地盤調査

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基本設計がまとまりつつあります。オーナーの地縄確認もとりました。詳細な基礎構造の検討の為、地盤調査を行いました。

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全部で8ポイントでの調査です。自沈層もなく安定した地盤のようです。これで一安心。特段の地盤改良は不要でしょう。
  
木口@PDO

15.08.06

地縄確認

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基本設計もまとまりつつあります。本日はご家族で現地にお越しいただき、地縄を見ながら建物配置の確認です。
  
リビングのフル開口からの視線の抜け、キッチンに立った時の借景。せぎに張り出し、宙に浮く屋根のあるデッキ。計画通りの配置でOKがでました。
  
雪深い中、初めて敷地に赴き、中村がイメージした建物の位置です。

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現地での確認が終わり、近くの屋外スペースで図面の打合せ。子供たちも近くで遊べるよい場所が見つかりました。
  
細田@PDO

15.07.28

木建(もくたて)納まり図

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赤岳登山口標高1500にもなる高冷地です。かつて別荘と言えば夏の家でした。最近では四季を通じて、むしろ二地域居住としてのライフスタイルが定着してきました。
  
せぎの家のオーナーからのたっての要望が、リビングルームの木建のフル開口。通訳しますと、木製枠の大工、建具屋製作の建具で、コーナーがフルオープンになってしまうというもの。気密断熱の多少の損失は覚悟の上、とのこと。
  
大概そのようにおっしゃっても、実際に隙間風、虫侵入、ヒートロス・・・、後から電話がかかって来るものです。
  
かといって工場生産品の木建フルオープンは、車が買えるほどの高価品であるのに、性能はさほどでもありません。第一デザインに工夫がありませんから大げさこの上ないです。
  
可動部は一本引きにしてシンプルに。上下の框を隠して気密パッキン。網戸は既製品のプリーツ網戸を枠に隠して。ガラスはLOW-Eをもちろん使う。建具は狂いの無いヒバ材に・・・・・、私も窓枠族と呼ばれた一人です。様々な経験を活かして挑むことにします。
  
中村@PDO

15.07.23

自然とのつながり方

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二つのせぎに挟まれた特徴的な敷地。外の自然との関わり方をオーナーご夫妻は大切にされています。
  
東京の今の住まいは2階のリビング。子供たちが元気に外に飛び出していける、そんな建物を希望されています。
  
中空に浮くような屋根のあるデッキと地面に近い石張りのテラス。二つの中間領域をもつ「せぎの家」
  
インテリアパースを見ながら素材やディテールを検討し、内と外とのつながりをデザインします。
  
細田@PDO

15.07.06

せぎは野草の宝庫

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梅雨時の「せぎの家」敷地が見て見たくなって立ち寄ってみました。降り続く雨・・・。せぎにどんな感じで流れがあるか見たかったのです。野生動物がせぎに沿って頻繁に行き来してるようです。私もそこを通ります。少しだけ鹿の気持ちがわかります。
  
二つのせぎに挟まれた三角州の敷地です。南を流れるせぎは豊富な水量があり、水を好む野草が繁茂しています。大きな丸い葉っぱは?わさびか?ふきか?
  
葉の大きさはほとんど同じですし、気を付けて見ないと見分けがつきません。これは「ふき」です。葉の縁のギザギザが不規則ですから。
  
建築に際し20本ほどもあるカラマツの樹は将来的な安全を考えると伐採した方が良いです。ただ、余程気を使った伐採技術を駆使しなければ野草の園は破壊されてしまうでしょう。大いに悩むポイントです。
  
中村@PDO

15.06.11

石のテラス提案

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二手の軸線を持つこの家には、二手の大きく環境に開かれた窓があります。そのどちらからも外に出たい!とのオーナーからの要望です。
  
南のせぎに開かれたテラスは、屋根で覆うことが出来るので、ウッドデッキといたしましょう。空中に浮かんだ床です。西に向かってせぎの行く先をながめる開口部のテラスは地面が隆起したような石のテラスにしてはいかがでしょうか。
  
八ヶ岳の石を上手く積み上げ、まるで環境に突きだす船の舳先のようでもあります。
  
八ヶ岳のビリ石を使って模型に手を加えました。私の石積み工事もなかなかのものです。
  
中村@PDO

15.06.02

外観模型

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通常初回のプレゼンテーションで外観模型をつくることまではしません。ところが概算の建築コストを検討する担当者からも、「難解!」と声が上がりました。
  
せっかくの案も理解されなければかわいそう。と言うことで橋爪君が模型をつくってくれました。
  
これで万全でしょう。
  
中村@PDO

15.05.30

プレゼンテーション

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この敷地に存在する二つの軸線。それはすなわちここに建つ家の背骨です。そこにいただいた生活スタイル、要件を載せて肉付けしていきます。生活が自然環境と一体となるようなプランとしなければいけません。
  
そしてもう一つ重要な要件。冬期5か月近くも居座る雪への対処です。別荘と言っても2地域居住と言った方がふさわしい使用頻度を想定します。入口回りが落雪に閉ざされてしまわないか、ウッドデッキに落雪する屋根形状、など配慮します。
  
建築案はこうして必然的に決まっていきます。少々難解な案となりました。上手く構想を伝えるには、土地から得たインスピレーションから、建築案に到るプロセスを、丁寧に説明する必要があります。
  
プレゼンテーションの準備が整いました。
  
中村@PDO

15.05.27

土地から得るインスピレーション

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4月にもなれば雪はほとんど消えます。5月にお約束しているデザイン案のプレゼンテーションが近づいてきました。
  
最初にこの土地を訪れたのは、1月の終わりでした。強いインスピレーションを受け、その時現場で作図した考えが、雪の消えたところで間違いがないか、確認に来ました。
  
道路から敷地に進入し、まず真っ直ぐ南のせぎに向かう軸線、そして、合流した後のせぎが里に下りていく軸線、この土地にはこの二つの軸線が存在します。建築の背骨となるものです。
  
どうやら間違いないようです。
  
中村@PDO

15.05.21

土地の所感

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20歳代冬山登山と言えば八ヶ岳がフィールドでした。東京から夜行列車に揺られ、明け方茅野駅に到着すると、まだうす暗いうちにガラス窓が凍りついたバスに乗り換えます。冬山に臨む時の緊張感は今も忘れることが出来ません。バスの行先は決まって「美濃戸口」。
 
さて、その美濃戸口エリアに別荘を検討されているご家族から候補地の所感を相談されました。冬のさなかです。ふたつの「せぎ」に囲まれていると説明されたその敷地は、訪れてみると強い力を感じさせる土地でした。この「せぎ」は人為的に造られたものではなく、自然形成された渓流に見えます。大昔の里の人々が「せぎ」として利用した、渓流と言うのが正しい言い方でしょう。
 
細長い敷地の両側に「せぎ」が流れ、敷地の先端あたりで合流して下界に流れていきます。雪に覆われた状態でもその瑞々しい光景は容易に想像できます。
 
「素晴らしく創造性をかきたてられる土地です。 間違いなくよい家が出来るでしょう。」そのように所感を述べました。
 
中村@PDO