ブックカフェの家

ブックカフェの家

設計:中村大補

16.05.30

「ブックカフェの家」―ALT1000の山小屋― 完成!

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「ワイルドでファンキーな山小屋」これがご要望でした。
難解です。長い時間をかけて価値観を共有いたしました。
それでも「あぁ、ここはこうだったのか・・・・」そんな言葉が出ましたね。
家づくりとはつくづく奥が深いものです。

田園を前景にした南アルプスすべてを見渡せる絶景地。
ちょうど田植え時期です。げこげことカエルがにぎやかです。
(完成写真;松村誠

中村@PDO

16.05.21

火入れ式 ―夕日に染まる甲斐駒をみながら―

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「ブックカフェの家」の薪ストーブはダッチウエストのセコイア。
シンプルで少し無骨な雰囲気がブックカフェの家によく似合います。

薪はフロントとサイドからくべることができます。
機能別に空気導入口が3か所もあったり、すごくごっついハンドルだったりと、
なんだかマニアックなにおいがします…。

薪ストーブは、操作など慣れないうちは少し戸惑うかもしれませんが、
コツさえつかんでしまえば良き相方となってくれるはずです。
暖をとるだけでなく、天板で料理を楽しんだり、美しい炎を鑑賞したり。
大人の贅沢な遊び道具ではないでしょうか。

夕方から始めた火入れ式。
日が沈むころには火も落ち着き、夕焼けと共にとても素敵な空間を演出していました。

鈴木@PDO

16.03.21

造作家具据え付け


木のすずさん製作家具の第一弾搬入です。綿密に打ち合わせを重ねてつくられた家具たちが据付けられていきます。

アイランドや洗面台などの天板はクリにしました。もちろん、オーナーこだわりののたつき&節あり材です。

リビングの曲り梁からはじまり、たくさんの「生体感」が詰まっている「ブックカフェの家」。いよいよ工事も終盤です。

鈴木@PDO

16.03.08

レッツDIY!

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内部木部の仕上げは柿渋塗装。今回はオーナーたっての希望でレッツDIYです。
 
ただやみくもに塗ればよいというわけではありません。何事も下準備が重要なのです。ペーパーやすりをかけ、目立つ汚れを落とし塗装がのりやすくします。そしてはみ出しを気にせずスカッと塗るためにマスキングテープでしっかりと養生をします。開口部が多いものですから、養生だけで一苦労です。
 
ひと通り塗り作業を終えたのですが、色ムラが気になります。1度塗りではやはりきれいにいかない…!またペーパーやすりがけをし、再塗装です。これでプロの作業工程と同じになりました。
 
とりあえず2日間の作業を終え、オーナーご夫妻へろへろにお疲れとのこと。しかしまだまだ2階、造作家具、建具の作業が残っています。へたってなんていられません。頑張っていきましょう!
 
鈴木@PDO

16.03.03

木工事あと少し

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「5年ぶりに医者に行ったよ・・・。」
担当棟梁の水下大工は胃腸炎で2日ほどお休みしていました。
 
それでも木工事はもう終盤です。外部に関しては足場を外したら濡れ縁残すのみ。内部は石こうボードを張ってしまえばおしまい。
 
DIYで内部の塗装に挑戦するオーナー。いよいよ出番のようです。
 
中村@PDO

16.01.19

触れてみてわかるもの

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オーナーがキッチンの床仕上げについて悩まれていました。
  
原案では、キッチンの床からプライベートゾーンとなるユーティリティエリアまで、同じ石タイルにして連続性を持たせています。
  
フローリングに比べ、少しおうとつのある石タイル。長時間キッチンにいる事を考えると足ざわりが気になるようです。でも水や油は必ず飛ぶし、空間としても石タイルにした方がいい…
  
図面とにらめっこだけでは限界があります。
「現場へ行きましょう!」
タイルとフローリングを並べて歩いてみたり、別の案を提案したりと、実際の空間にて検討を重ねます。
  
「やはりここは石タイルがふさわしい!」
満場一致で原案通りの石タイルとなりました。
  
  
足ざわりについての対策法ですか?スリッパを履くことにしました。
  
鈴木@PDO

15.12.18

家具打合せ

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「木のすず」鈴木さん、再びの登場です。現場視察を兼ねての現地での打合せ。まずは製作家具が納まる位置と設計方針の確認です。

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その後、スタジオに場所を移して図面を見ながらオーナーご夫妻のご要望をお聞きします。
 
暮らしのスタイルにあったデザインや素材、収納予定のものの納まり、機能性。そんなことを心に留めながら木のすずさんとの協働で進めていきます。
 
細田@PDO
  

15.11.28

材料検品

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現場に納入されたアカシアのフローリング。発注した樹種、グレードに間違いがないかどうか。梱包を開いてしっかり確認します。
  
アカシアは造船用の木釘として使われるなど、丈夫で乾燥収縮が少ない材として知られています。
   
細田@PDO

15.11.18

断熱工事

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外部に面する壁、屋根、基礎立ち上がり部に水発砲のウレタンフォームを吹き付けていきます。
  
採用している断熱材は自己接着力に優れているため伸縮が起こる木材にも対応し、しっかりと断熱と気密をします。
  
また、湿気を吸いにくいのでカビや腐朽の原因となる壁内の結露の心配もありません。気づいたら壁の中がカビだらけ!!想像するだけでもぞっとします。安心してください。この断熱手法ではそんな心配もないのです。
  
冬の足音が近づいて日暮れともなると心底冷えてきました。言葉だけだと半信半疑ですが、断熱吹付けされた後の現場へ行くと断熱性能の高さがよ~くわかるのです。
  
鈴木@PDO

15.11.07

山のように

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「標高1,000mの山小屋」の屋根葺きがはじまっています。その外観は八ヶ岳をイメージしています。
  
手前を低く抑え、奥に行くに従って山のように高くなっています。
  
南アルプス、八ヶ岳の山々の眺望が素晴らしいこの環境。建物ができあがった後の景観が、この風景の一部になることを願っています。
  
細田@PDO

15.10.31

防水金物検査

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木軸構造の柱梁が耐震設計通りに金物で緊結されているか、床、壁、屋根の合板が構造規定通りに張られているか、すべての箇所をくまなくチェックしていきます。
  
また、漏水事故の多いサッシ取付防水処理や、屋根防水シート張りが規定通りできているか、こちらもしっかりチェックしていきます。
  
今回チェックした項目は今後の工事で隠れてしまうため工事写真として記録していきます。
  
保証機構の検査も指摘事項なしです。
  
鈴木@PDO

15.10.13

Win Winの家具づくり

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高遠にある無垢材オーダー家具を手がける「木のすず」オーナーご夫妻と訪ねました。
  
オーナーの好みは洗練され過ぎていないこと。ワイルドというキーワードがありましたが、中村の翻訳によるところの「生体感」。生命を宿していた証を受け止めた材の使い方ということでしょうか?
  
さて、家具を製作するにあたり一般的には節のある材は敬遠されます。嫌われる方も多いので、無難な線を狙って、節あり材ははじかれてしまうようです。
  
でも節は枝があった証、成長の証。そう、ブックカフェのオーナーは、こういう節などを好まれるのです。
  
もっと大きな節がたくさんの材はないですか?
  
「奥の方にたくさん積んでありますよ!」と、嬉しそうに答える木のすずの鈴木さん。材が無駄なく使える、こういう要望はありがたいそうです。そして、無節の材に比べて割安です。
  
敬遠されがちな節のある材たち。さあ、出番です。Win Winの無垢の家具づくり、これからはじまります。
  
細田@PDO

15.09.30

祝!上棟

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秋晴れのなか5人の大工たちが一丸となって順調に作業は進んでいきます。
  
そして、オーナーご家族が見守る中、水下棟梁の「棟上がるよー!」の掛け声を合図に、ブックカフェの家、無事上棟となりました。
  
棟梁の手刻み加工によりかけられたひのきの曲がり梁も私の居場所はここしかない!とでもいいたそうな雰囲気できれいに納まっています。
  
鈴木@PDO

15.09.23

基礎工事完了

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毎度ながら凍結深度以下に基礎の底を築く寒冷地対応の深基礎は大工事だな、と思います。土の埋戻しが済むとそんな苦労はあたかもなかったように清々と見えます。
  
途中、雨台風の洗礼を受けました。でもこれは幸運なことなのです。どのように地下水が湧くのか、道路からの表流水はどこに溜まってしまうのか、しっかりと確認することができました。これで確実な除水処理を計画することができます。
  
鈴木@PDO

15.09.15

曲り梁とあま皮付柱

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オーナーが要望されていること、
「ワイルド!」
言葉をそのままに理解してはいけません。私が翻訳しますと、「生体感」とでもいいましょうか、生命を宿していた証し、とでもいいましょうか、そのような材の使い方を要望されている、と解釈しています。
  
リビング吹き抜け空間にかかる梁。曲がっている赤松か檜、との要望ですが最近は使うこともまれなので、材木屋さんもそれほど多くストックしていません。貯木場の奥の奥・・・・

ありました。5年も寝かせてよく乾いています。
「きれいに磨いて出すからね。」
「いえいえ、このままで現場納品ねがいます。」

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さて、ヌレエンには2本の独立柱を計画しています。ここの要望は「あま皮付」。それでは、と材木屋社長さんとっておきの「ネズミ」が良いのあるよ、ともう一つの貯木場へ。ネズミってなんだ?「ネズミサシ」のこと。直径200㎜で樹齢100年。材が密で腐らない。これを2本あま皮付でいただきましょう!
  
中村@PDO

15.09.08

立上りコンクリート打設

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立上り部のコンクリート打設です。ポンプ屋と長田親子の息の合った作業で順調に進んでいきます。
  
コンクリートを流し込みながら振動機をかけます。昔はこれを木槌でトントントントンたたいたのです。だから「打設」と言います。余分な空気を除去し、粒度が異なる骨材を均等に行き渡らせるためです。密実で強度の高い基礎となります。
  
型枠はすぐには外しません。これから養生期間へ入ります。
  
鈴木@PDO

15.08.29

配筋検査

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社内検査を事前に済ませて準備万端で迎えた第三者機関による配筋検査!
  
コーナー定着の長さ、鉄筋の径とピッチ、根入れ、立上り等の高さをじ~っくり隅々までチェックいただきました。今回も指摘事項なしです。
  
鈴木@PDO

15.08.25

基礎工事~床掘りはじまる

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ブックカフェの家は建物下の地盤面全体に鉄筋コンクリートを施工する耐圧盤基礎です。
  
基礎工事に必要な区画全体を掘る、総堀りという方式になります。器用にユンボーを操り、手際よく床掘りを進めていきます。
  
細田@PDO

15.08.21

地鎮祭

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立秋が過ぎ、まとう空気に少し変化を感じる今日この頃、『ブックカフェの家』の地鎮祭を行いました。
  
地鎮祭は神様の所有物である土地を借りて家を構えることから『土地借用の儀式』とも呼ばれています。
  
八ヶ岳神社の藤森宮司さんの下土地のお清めをし、神様へ工事開始のご報告と無事完成を祈願しました。
  
さぁ、いよいよ着工です!
  
鈴木@PDO

15.08.14

井戸ボーリング

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リゾート地といえども、上水管が敷設されていないエリアは今でも多くあります。そのような場合井戸掘りをして生活用水とします。
  
かつて井戸と言えば江戸時代の井戸端会議、はたまた村上春樹の小説に出てくる、あの井戸を想像されることでしょう。
  
今は違います。200φほどの管をボーリング(掘削)しながら、数十メートル、自噴する水脈層まで埋め込み、電動ポンプの力を借りて安定的供給します。
  
地面は大気の熱を伝えにくいため、井戸水は1年を通して安定した温度を保っています。夏は冷水、冬はそれなりに感じます。また、滅菌も上水に比べれば少なくて済みます。要するに「うまい水」です。
  
八ヶ岳がもたらしてくれる自然の恵みに感謝です。
  
鈴木@PDO

15.07.20

標高1,000mの山小屋

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工事契約に向けてコスト調整の内容協議です。こだわりの部分や全体のバランスを崩さぬように仕様を確認していきます。
  
オーナーからは「標高1,000mの山小屋」そんなコンセプトを投げかけられています。
  
さて、どこの山小屋なのか?八ヶ岳でも、南アルプスでもない。ここを間違えては大変と、参考に撮られた画像を見せていただきます。
  
どうやら霧ヶ峰の「ころぼっくるひゅって」がイメージに近いようです。

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エジソンランプなどを取り入れ、照明器具も提案内容の全面的な見直し。PDOにとっても新しい境地、楽しみです。
  
細田@PDO

15.07.14

コスト調整

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着工に向けて打ち合わせを進めています。基本設計がまとまり、見積りのご提示。本日は詳細見積りをにらみながらのコスト調整です。
  
素材なども確認いただき、イメージのすり合わせを行いながら優先順位を確認していきます。
  
こだわりの部分にはしっかり費用をかけ、抑えるべきところは、大胆な発想も取り入れ、工夫してコストダウン。
  
空間全体のバランスは崩さない、そして調和がとれていること。大事なポイントはしっかりと押えていきます。
  
細田@PDO

15.05.29

外観模型

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建築の外観は自然景観の一部にならなければいけません。そびえ立つバットレスの様ではいけません。里から徐々に高度を上げて頂きに至る、たおやかな峰の様でありたいと思います。オーソドックスとは思いますが、いつもそんなことを考えています。
  
青空に飛行機雲。森をバックに模型写真を撮りました。ひーさんの模型作りも上手になりました。部材のカットラインがシャープになってきましたね。
  
中村@PDO

15.05.24

インテリアパース

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ブックカフェのように集う家、そのようなコンセプトで進めてきました。
  
リビングダイニングはまさに本棚だらけ。平面図、展開図を忠実に立体表現にしますと、こうなります。
  
いつものように、現場でそれぞれの窓から見えるであろう景色をはめ込んでいます。雄大な山脈はインテリアに大胆に取り込まれます。
  
完成する空間は紛れもなく、この絵の通りになるのですが、やはり絵は絵。その場の空気感までは表現できません。オーナーの確認用としては最適な方法です。
  
中村@PDO

15.05.12

イメージを確認

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本日は建築実績のご案内です。図面だけではなく、実際の建物に足を運び、その空間に身を置いてみます。
  
好みやこだわりのポイントなどに気づき、イメージの検証をすることができるのです。
  
基本方針もまとまり、インテリアパース、外観模型で確認しながら、イメージを、破綻のないかたちにつくりあげていきます。
  
細田@PDO

15.04.30

わくわくプランかたまる

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いただいたスケッチに込められた想い。しっかり読み取った中村からのBook Cafe Houseの提案。オーナーご夫妻に気に入っていただけたようです。
  
本日はスタジオでご両親も参加されての打合せ。細かな修正要望をお伺いし、基本計画もまとまってきました。7月の着工に向けて、基本設計を進めていきます。
  
細田@PDO

15.04.21

こぶしさく

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思わず古い歌を口ずさみたくなる、そんなコブシの花。例年このあたりでは4月20日ごろ、ティシュペーパーのような白い花を咲かせます。
  
ブックカフェの家の敷地中央に、樹形の良いコブシの樹。きちんと例年通りに開花しました。
  
中村@PDO

15.04.15

わくわくプラン

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とにかくコミュニケーション好きなオーナー夫妻は、一般的な住宅と言うよりも、たまり場のような社会に開かれた家、「ブックカフェ」のような家にしたい、そうおっしゃいます。「私たちは居候している感じでよいです。」
・・・むずかしい要望ですね。
  
そして「皆がワクワクするブックカフェのような展望の家」と題したスケッチが届きました。なるほどわかってきました。
  
そうであればこんなことではいかがでしょうか?
  
中村@PDO

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15.03.02

プレゼンテーション

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東西に細長い敷地の中で、西側道路に寄れば寄るほど、眺望は良くなります。盆地を見おろすダイナミックな景観があります。通常できるだけ家は、道から引きをとりたいところです。道から見てすぐそこに玄関ドアがあるのは、狭小な都会ではともかく、ここでは良いことではありません。
  
素晴らしい眺望を安定した光で楽しむには、庇の長さが必要です。野球帽の庇です。これは大空をインテリアに取り込むこととは両立が難しいのです。
  
社会に開かれたLDKはブックカフェでもある・・・・。難しい要望です。オーナーの考えの整理、設計側のオーナーとの価値観の共有、そのためにも半端ではない建築提案をぶつけてみます。
  
プレゼンテーションの準備が整いました。
  
中村@PDO

15.02.25

ブックカフェの家

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この敷地を初めて視察したとき、通常の目線の高さで山脈が一望でき、同時に大きな空、と言うよりも宇宙。驚きました。
 
オーナーが求めたライフスタイルを要約すると、「ブックカフェに住み込みしている夫婦の家」と言うことでした。実際に営業するわけではなく、社会に開かれた家、と言う意味でしょう。
 
敷地はとにかく開放的です。それは利点でもあり弱点でもあります。日射、季節風、伏流水・・・、林内でない分、建築は多くがさらされています。空に開きすぎれば冬期でも室内はオーバーヒートします。北西方向からの冬風を防ぐ建築形態、伏流水を避けて捌く工夫、経験が活かされるべきでしょう。
 
中村@PDO