岐阜の後は滋賀県近江八幡市にあるラ コリーナ近江八幡を訪ねました。ここは和菓子をはじめ、バームクーヘンのクラブハリエなどを手掛けるたねやグループの新しい拠点です。
駐車場に車を停め、オカメザザのアプローチから建物を見た瞬間、ジブリの世界に迷い込んだかのような感覚になりました。
屋根は芝生に覆われ、頂上には木が植えられています。壁はまるで地面が隆起して出来たかのよう。素材選びや使い方など、独特の世界観に皆心を奪われたのでした。
店内にはたねやの未来像を描いたドローイングがありました。夢いっぱいにアイディアが描かれ、その1つ1つが実現に向けて動いています。
ワークショップも積極的に行いながら、時間をかけて作り上げていくプロジェクトです。
週末、岐阜と滋賀へ建築視察に行ってきました。
岐阜では今年7月にオープンしたみんなの森ぎふメディアコスモスを訪ねました。1階はギャラリーやイベントホール、2階が図書館になっています。
見どころは県産材のヒノキを積層させた天井です。緩やかなカーブを描きながら、包みこまれるような空間は圧巻です。実現のために多くの知恵と努力が必要だったことも感じながら、ヒノキの香り漂う空間に各々思い思いの時間を過ごしました。
グラフィカルなグローブの上には明かり取りの天窓があり、夏場は空気が抜ける仕組みです。また、白い丸柱は雨樋を兼ねるなど、シンプルに見せるための様々な工夫がありました。
この施設は工事を始める前に庭づくりを行っています。工事中も積極的にイベントを開くなど、市民と一体となって進めてきたプロジェクトでもあります。ここでは人々が主役であり、建築は裏方。当たり前のようですが、そうでもない施設も多いのです。だからここを訪れた人たちは皆楽しそう。プロセス含め、公共施設のあるべき姿を見ることができました。
ヴォーリズ建築を的確に表す言葉が、上手く見つかりません。分析や解読に全く苦労のいらない、さりげない表情が居心地の良さを感じさせます。
そんな中、保存されている洋館群を囲う、煉瓦の塀にこだわりを見出しました。一つとしてまともな煉瓦を使用していないのです。変形してしまったもの、割れているもの、焼き損じて二つが一つになってしまったもの・・・・、100年を経ても、ヴォーリズの意思、メッセージがあるでしょう。
「人類はみな兄弟」と聞こえてきました。
軽井沢で進行中の「モーエンセンと語る家」オーナーの、東京の旧家取り壊しの際、廃棄を免れた保存建築部材の数々に中に、「結霜ガラス」と呼ばれるガラスがあります。これを、「モーエンセンと語る家」で、建具にはめ込む明かり取りとしてよみがえります。
その「結霜ガラス」がなんと、ヴォーリズの近江八幡の自邸玄関ドアに、はめ込まれているではありませんか。片や滋賀、片や東京。距離は離れていても建築年代が共通していたのでしょう。「結霜ガラス」は時を経て、ヴォーリズの育てた軽井沢で再び安住することになります。
グルグルと回る縁の渦の脇で、呆然となる自分がいます。