さあ、家が出来ました。庭は?
環境を傷つけずに建築をすることは出来ません。最小限にと気づかっても、不自然に整地され、地面はむき出しになってしまいます。これにはいつも胸が痛みます。一刻も早く「緑地回復を!」という衝動に駆られるのは私もオーナーも同じ。いっそ洋芝の種や、ヨモギなど野草の種でも蒔いてしまおうか。
でも、待ってください!
例え草であろうともその環境に即していない、外来の種など蒔いてしまえば、奇妙な土壌が形成され、潜在の、環境に即した森づくりの、妨げになってしまいます。
「潜在植生の木」の名前だからと言って、例えば某マートや園芸店で買ったとしたら、ほとんどの場合それはエリア外育ちです。同じウワミズサクラと名前は付いていても、森で自生しているそれと、売っているそれは厳密に言えば違う植物です。極端に言えばすべての種は固有種です。(ただ、現実にはPDOからポット苗を買っていただかない限り難しい望みなのですが・・・・)
草も同じ。買ってきた種を蒔くことは、潜在の森を早く復活させたければ逆効果になります。
そこで焦らず、むき出しの地面には次の春には雑草が生えてきますから、我慢して待ちましょう。根気強く雑草を短く刈り込んで土づくりに励むと良いでしょう。
ゴルフ場のような芝の庭にするのは、間違った考え方と言うことです。環境と時間がつくる森空間は、どんなガーデンデザイナーの作品よりも美しいです。
家に名前をつけたがる癖は今に始まったことではありません。もちろん私の住処にも名前はついています。
父のDNAをしっかりうけついで私も山男です。ことに八ヶ岳は はしからはしまで春夏秋冬歩きまわりました。そして、25才のことでした。この連嶺のふところのどこかに家を持つのだと決めたのです。
さて、八ヶ岳連嶺は岩あり、森あり、湖ありで多彩です。その中で、私が最も好きなところは・・・。北端の蓼科山南麓の天祥寺原です。ここの、コメツガの林がこよなく好きなのです。
そんなわけでコメツガの丘-ヘムロックヒルこの家をそう名付けることにしたのです。
イラストは八ヶ岳連峰を標高2200mラインで輪切りにしたときのかたちです。地球規模の大洪水があったらこうなるんでしょうね。
コンクリートとアスファルトしかないふるさとの街にある小学校にも、小さくても校庭はありました。(ふるさとは下町浅草です)
野球もサッカーも好きになれなかったぼくが、毎日のように夢みていたこと。それは・・・。
「こんなにも広い校庭の全てを、こんもりとした地面がいくつも、いくつもあるまるでジャングルのような森にしてしまいたい」ということでした。
となりの街にある小学校の校庭も、そのとなりにある小学校の校庭も・・・みんな森にしてしまえばどんなに楽しいだろうと本気で毎日考えていました。
そして今、夢は叶いました。森は放っておいても豊かになっていくでしょうが、一度壊された森は人の手で復活させる責任があると思います。
子供のころスナック菓子といえば「バーベキュー味」と決めていました。
都会育ちでしたから、バーベキューなどやったことも見たこともなかったのですがきっとすばらしい食べ物なんだろうと勝手に思っていたものでした。
大人になって、ことに高原の暮らしを始めてからバーベキューをする機会が多くなりました。
その度に「こんなはずはない。もっとすばらしいもののはずだ。」との思いが募るばかり。家の中でやったら煙と油でたいへんだから外で焼いて食べる。確かに言ってしまえばその通りなのですが、こんなことではおもしろくもおかしくもなんともない。
シンプルな料理ほど材料選び、下ごしらえ、場の設定など綿密にこだわってやらないといけません。
かえってインドアキッチンの料理よりもセンスも手間も食うのだと覚悟を決めてかからないといけないのだと最近思っています。
冬もいよいよ本番ですが、BBQシーズンが待ちきれない今日この頃です。