かつて丘状だった森を、泉ライン開通のために削り取ってしまった土地。PDOの八ヶ岳スタジオはそんなところに建っています。
宮脇昭先生の混生密植方式のポット苗1000本スペースと、野草の森づくりスペース、収穫の森スペース(畑です)、にゾーニング計画された外構構想。
今日から、いよいよ野草の森スペース整備の開始です。多くの野草のガーデンづくりに携わってきた、広岡さんと平井さんの指導のもと、PDOは森づくり体験をします。
まずは、スペースにはびこった雑草すべてを抜きます。すぎな、イタドリ、タンポポ、ふき、ヨモギ、ススキ・・・、獰猛な雑草群がはびこっています。実に地道な作業です。
「分水嶺にたつ家」のオーナーは、ご主人が動物医療生態、奥様が植物生態を専攻しているという最強のご夫妻です。「ブナの親樹を見つけた・・・」そうさりげなく情報がもたらされたのはつい最近のことでした。敷地周辺にブナの若木は発見していましたから、そう遠くないところに親樹があると予想はたてていたのです。
21年前に私が八ヶ岳に移住してから、まず初めにやったことは、潜在植生の森を見つけることでした。学術的に八ヶ岳南麓は「ブナ、ウラジロを主体とした混交林」と言うことになっているにもかかわらず、どこにもブナが無いことに疑問を持っていました。
先の大戦での燃料確保で伐採された?小海線蒸気機関の火の粉が原因の大規模山火事で焼失?そもそも建築材としては無用の樹(?)なので皆伐された?理由はよくわかっていませんがブナは一見現存していないのです。それでも急峻な谷あい地形では残存の可能性ありと踏んで、21年前に単独で調査した経緯があります。
今回発見されたブナの森はそんな単独調査で「ブナ確認されず」と判断されたエリアでした。なんて恥ずかしいこと。私の目は節穴だったということです。しかも、私の自宅から徒歩圏!
目通りの直径で1メートルはあろうかと思われる、ブナは幹にボコボコといくつものこぶがあり、樹齢数百年はありそうです。形成に一千年かかるといわれるブナの森。この森の植生調査には時間がかかっても、やりとおす価値があると思います。
中村が何年も前に描いたスケッチです。八ヶ岳の森の土地開発デザイン。
先月末、地方への移住促進、地方創生推進ための国民会議が発足しました。『そうだ、地方で暮らそう!』国民会議
産官学が協力して、地方移住しやすい環境を整える計画だそうです。
八ヶ岳南麓を抱える北杜市では近年移住者が増えていますが、家を建てるための土地供給や空き家の活用などは、とても寒々しい状況で受け入体制が整っているとはいえません。
当たり前のことですが、家を建てるには土地が必要。土地探しの段階からご相談いただくことも多いのですが、なかなかお勧めできる土地がないのが実情です。
5年、10年先を見越した、良質な土地開発・供給が必要となってきます。フェローの森の夢。実現に向けての小さな一歩を踏み出すときが来ているのだと感じます。