良いエリアを決め、直感でよい出会いを感じた土地があれば次に述べる色々な側面から、
その土地を読んで下さい。ここでいう「流れ」とは常に移ろって一定でない条件をいいます。
今回はまず「太陽と風」についてです。
①日照の流れ
日照は人の健康にとって最も重要です。
いくら気持ちがよく感じても東、南、西に山や森がせまっていたら
冬の日照時間に大きく影響します。
冬の朝は何時から日が射しますか。
西日は夏季とても暑く嫌われますが、冬は逆に暖気をため込むので良いものです。
エリアの日没は何時なのか調べて下さい。
季節ごとに太陽高度は刻々と変化していきます。
様々な時間帯、季節に土地を視察するのも良いでしょう。
②季節風の流れ
一般に冬風は北西から、南風は南東から吹くと思われている方は多いと思います。
しかし、そのエリアの大きな冬風、春風の流れ方向は、
周囲の小さな谷や丘にはね返って固有の風向きとなることもあるので注意です。
その土地周辺に古くから住んでいる農家の方たちは多くの情報を持っています。
・冬風はどちらから吹くか?
富士山、八ケ岳、浅間山などを北方向に望むことのできる土地は一見魅力的に思われます。
ただ、その方向が開放されていることを意味し、冬風の直撃を受けることになります。
・谷状地に隣接していれば、そこが風の通り路となっています。加速度のついた風です。
季節風が突風となって土地に向けて吹き上がり、庭木を傷めたり家中がほこりだらけになった りします。
かつての日本家屋は大きな庇で家を覆ったり、屋敷林で冬風をさえぎったりと、
パッシヴな知恵に満ちています。
格段に上がった建築性能はもちろんこうした自然環境の厳しさを軽減するでしょう。
ただ、克服などすることはありません。
それにすべてを依存することなく環境と共存する意識を持つべきです。
広い視野をもち、良いエリアから選ぶことが第一歩です。
望ましくは出来るだけ広大な南斜面であること。
また、そのエリアから南に湖や盆地を見下すことが出来るのが良いです。
また、東にはきれいな水がいつも流れている渓谷があると良いです。
そして、西には交通の活発な流れがあり、
北、背後には力強く盛り上がる山があると良いです。
この条件は古代中国から伝わる風水術にあるもので、
「四神相応の地」と呼ばれ故人の居宅選定の規範とされています。
風水術は占いと言われています。占いとはオカルトでも超常現象でもなく、
科学的データの分析から求められた客観的判断(統計学)のことです。
こうした優良なエリアは国土地理院の立体地形図などから探すことができます。
風水術的に良いエリアは太古の昔から、そして現在に至っても
人が好んで居住する人気のエリアとなっている場合が多いことがわかります。
八ヶ岳南麓、浅間山南麓などは典型例です。
風光明媚で日照時間が長く、自然災害に見舞われる頻度が少ないということです。
最近では避暑としての別荘を持つという方は少なくなり四季を通じて利用、
いずれは永住という方がほとんどになりました。
エリアの履歴や特に冬についての情報も多く得るとよいでしょう。
風水的によいエリアであれば、多くの場合許容量が大きく、個々の土地の弱点がカバーされることもあるので慎重に選ぶことです。
中村@PDO ※画像は八ヶ岳の冬風の流れ
かけがえのない生活の根拠となる家を築くために、
もう既に土地を入手された方、これから入手しようと思っている方々に参考になれば幸いです。大自然の中での多くの設計経験、施工経験から得た「土地の読み方」についてお話します。
一般に不動産屋さんの価値感で「良い土地」とは何かご存知でしょうか。それは、建築に際し考慮することが少なく多くに対応できる土地、すなわち強い特徴のない土地が良いとされます。具体的には、
1、出来るだけ整った矩形で変形してないこと。
2、平坦地であること
3、道路付けがよいこと
4、ICや鉄道駅から近いこと
などでしょうか。
それらを満たしている土地があったとしても一番大切なワクワク感のある土地とは限りません。「良い土地」を作るために余計な加工をして、かえって魅力を無くしてしまったり風水を悪くしてしまう例も多く見てきました。
不動産屋さんの価値観は単眼的です。
家はそこに住まう家族と土地の特性が融合された唯一無二のものであるべきです。
中村@PDO 写真;松村誠
ハウスメーカー勤務時代からエッセイも好きでよく宮脇壇さんの著書を手にしていた。
没後19年となる今年神宮前の建築家会館で「ドローイング展」が開催されている。
渋谷での打合せの後に中村と会場へ足を運ぶ。じっくりとドローイング原図を堪能。
次の一歩は身体が教えてくれる。
細田@PDO