時を待つ — おおらかに —
森化事業のリーダーの愛さん、実は釣りが趣味。学生時代には奥入瀬川の支流で渓流釣りも楽しんでいます。水(川)に興味を持つようになったきっかけは高校2年の時に出会った平瀬川の護岸工事。当時住んでいた川崎を流れる平瀬川という一級河川を自然護岸にするという動きがあったそうです。母親と参加した役所と工事関係者と住民の話し合いの場がその後の進路に影響を与えました。
自然環境を生かすPDOのランドシャフトデザイン。スイスで生まれたと言われる近自然河川工法に通じています。自然界の構造を理解して自然の力を借りる工法です。
ここでいう自然とはマクロの視点でのエリアの地形、土地の微気候をつくりだす敷地内や向こう三軒両隣がつくる自然環境。そして忘れてならない人間。
だいぶはみ出しているとはいえ、ひとも自然界の一部。ひとが生み出す社会構造を読み解き住まい手の力を借りること。これもパッシヴデザインです。
玄関はその家の顔とも言われます。
玄関に入ってまずどんな景色が見えるのか、
大きな見せ場の1つです。
「分水嶺にたつ家」では起伏のある地面や深い森が目の前に広がります。
それを演出するのがピクチャーウィンドウ。
四季の移り変わりをダイナミックに取り込みます。
床から少し浮かせた収納の先にはスキップフロアのダイニングキッチン、
さらに先のリビングまで見通すことができます。
天井の板張りと窓の多さからでしょうか、大海原をゆく船の様にも見えます。
玄関に立った瞬間から非日常へと誘います。
森化事業のリーダー愛さんと建築中の現場へ。学生生活の3年間は十和田キャンパスでフィールド科学を主体として土地情報や地形などの読み取り方を実践で学んできたツワモノです。
図面を片手に敷地内を歩きまわり切り株や既存の樹木の位置を落とし込んでいます。土地と建物の関係性や人の動線のあり方。そこに流れているものが活かされるデザイン提案が信条です。
ちなみに大学4年次には熱望していた利水研究室へ。水や川や虫と戯れた時間がいまも彼女の中で息づいています。