デザインの力を感じる時があります。
デザイン単体というよりも、周囲のモノやコトと関係し、
人と何かをつなぐ役割を果たした時です。
それは何かを想起させることでもあります。
写真は船客待合所やレストランなどが入った施設です。
海辺にあるため三角屋根の外観は波を連想させます。
この形がデザインコードとなり、
ロゴマークやゲートなど様々なものに派生しています。
ルーフバルコニーのタープが帆を張る船の様です。
金物やロープの巻き方も本格的ですね。
水上バスやクルーズに来た人の気持ちを高めてくれることでしょう。
建築や空間は様々な要素の集合体です。
細部へのこだわりが居心地の良さを生んでいます。
現場で基礎が完成し、建て方に要する日数は1~2日です。
天候を見計らい屋根の防水までまとめるにはスピード感が求められます。
そこで大きな役割を果たすのが構造材のプレカット技術です。
今回、新潟県にあるプレカット工場を訪ねました。
広大な越後平野の中にあり、交通の便も良い場所です。
ひと通り工場を見学すると、製作のプロセスはもちろん、
加工技術の精度や可能性、現時点での限界など、実際に目で見ることができます。
案内をしてくれた担当者との話から生きた情報を得られるのもまた醍醐味です。
材料の保管から、運搬に至るまで見てきました。
実際に足を運び、体感することで多くのことが得られます。
百聞は一見に如かずです。
自然の中に居を構えようとした時、
そのエリアに建つ建物を観察してみることをおすすめします。
経年変化の具合や湿気による影響など、建築時の注意点に溢れています。
もし外壁や軒裏に穴が開いていれば、
それはキツツキの仕事と見て良いでしょう。
新しく建てる家で対策しておくのが得策です。
キツツキは必ずどこかに脚を引っ掛けます。
そういった場所をなくしてしまえば良いのでは?
中村が考案したのがワイヤーによる仕掛けです。
丸環を屋根の先端に取り付け、
ワイヤーを張ることでキツツキの脚が掛からないという、
キツツキの側に立ったアイデアです。
その効果の程はいかに?
経過を見守りましょう。
赤坂にあるとらや本店を訪ねました。
建て替えによる3年間の休業期間を経て、去年10月にリニューアルオープンしています。
周囲のビルに比べてとても低く、円弧状の大屋根が特徴的です。
大屋根を支えるのがリズミカルに並んだスチールの架構です。
持ち出しになっているので屋根の下に柱がありません。
シンボリックな階段は安全性に配慮しながらも誘われるような魅力があります。
そしてふんだんに使われたヒノキがなんとも贅沢!
都市部の商業建築は少しでも床面積を広げようと考えますが、
この建物は建て替え前の9階建よりも小さい地下1階・地上4階建。
テナントスペースを設けて利益を得るよりも
純粋に和菓子屋としてのブランド発信に特化した形です。