標高1,600メートル超えの蓼科の別荘地。別荘地内のPDOの施工した家の外観をご覧になられた方から相談をいただき、検討されている敷地を中村と見てきました。
最近にしては珍しく緩やかな傾斜の林間の敷地。敷地に立つと抜けの方向も見え、どのようなプランが理にかなっているかのかがわかります。
敷地が求めるものと建主の希望、折り合いつけて最適解を探ります。
「吾唯足知(われただたるをしる)」という言葉があります。
直訳すると「私は、満ち足りていることだけを知っている」という意味です。
人は求めれば求める程に満たされない欠乏感を抱いてしまいますが、
「すでに満たされている」と考えられれば、同じ景色も違って見えるのではないでしょうか。
1LDKで床面積21.4坪。
暮らしに必要な機能が全て盛り込まれた、最小であり最大の家です。
庇でカバーされたデッキスペースは家の中の様な、外の様な曖昧な空間です。
季節の風や香りを感じながら、心の赴くままに目の前の景色を楽しむ。
そんな穏やかな森の暮らしを満喫できます。
キャンプには暮らしの原点が詰まっています。
テントを張り、火を起こし、食事を作る、、、
様々なことが便利になった現代ではこういったシンプルなことが特別に感じます。
無駄をそぎ落とす程に人と環境との距離が近くなるように思います。
暮らしをミニマムに考えると小さな2階建てになりました。
ハイド(野鳥を観察するための小屋)の様にひっそりと、
うねる地面にピンポイントで打つ楔の様な家です。
窓辺を中心に据えた暮らしは、時間の流れや季節の移り変わりに敏感になります。
日々のちょっとした変化に気が付く幸せ、ミニマムな暮らしにはそんな魅力があります。
霧ヶ峰高原近くの別荘地。数少ない絶景山岳眺望の敷地です。
土地の検討段階でご相談を受けることが多く、土地購入の申し込みをされた方からご依頼を受けて敷地を見てきました。
敷地は急傾斜地。道路からの離隔距離を考えると建物が建つ位置は急斜面です。設計も施工もとても難易度の高いプロジェクトになると思います。希望の間取りや暮らしがこの場所で実現可能かなのかどうか?住まい手にとっては重要なことです。
この敷地をどのように見立てるか。身体の診断をする医師と同じように責任の重い仕事です。ロケーションや地形・地勢、敷地の植生、周辺の微気候、伏流水・漂流水、インフラなど見る要素は多岐に渡り、建築の総合診療医という役目でしょうか。
数々の実践を重ねてきたPDOに求められていることだと感じています。個別の専門領域だけでなく、その繋がりや関係性を読み解く力が必要です。
ギャラリー・間で開催中の
「o+h展:生きた全体―A Living Whole」を見てきました。
建築家のメッセージの中に以下の一文がありました。
「建築を含む『生きた全体』を考える時、私たちは、建築を自然から離れた人工物というよりは、
生き物としてとらえるところから始めてみたいと思います」
有機的な造形から建築に息づかいを感じ、
人々を惹きつける魅力となっていくのかもしれません。
スタディ模型の数々、、、人間の脳内に迷い込んだかの様です。
1つの建築が出来上がるまで様々な葛藤や想いがあり、
過去のプロジェクトとも絡み合って思考が渦巻いている、
そんな混沌とした状態が表現されているように感じました。
建築の着想はどこから得られるのか。
恐らく建築家それぞれにアプローチが違い、
同じ景色を見ても感じ方が違うように、様々な視点や深度があるのだと思います。
そういった人との違いもまた面白いところです。