各方面にエキスパートなメンバーが参集しPDOを結成、ロゴマークについても時間をかけて散々検討していました。そして内定していたデザインがありました。自然の創り出す神秘のうずまき、オウムガイをモチーフにしたデザインです。意匠登録の段取りにも入っていました。
ところが思いがけない大災害。3・11です。首都高速のバスの中でこの瞬間に遭遇した私は、6時間以上も足止めされたバスの中で、津波が街を飲み込む瞬間、漁船がうずまきに巻き込まれて旋回する・・・、千葉のコンビナートが炎上している様子など、停電のないバス内のモニターでライブ映像で観ていたのです。
おそらくは一生忘れることのない恐怖。
そして、オウムガイのデザインを見た瞬間、その恐怖がよみがえってくるのでした。そして廃案になりました。
時を経て、このロゴマークを復活させようと思い至りました。それも図面にはどんなときも必ずある、方位のシンボルとしてよみがえりました!
高原にもうひとつの家を持つために土地探しをしていたオーナー家族。娘さんは、この敷地に立ったとき思わず「リフジオボーボー!」と叫んだそうです。ドイツ語で「草ボーボーだなこりゃー!」という意味でしょうか。起伏のおおい傾斜地に美しい樹がそこかしこに。旺盛な生命感に満ちた土地でした。そんなわけでこの家の名前は「リフジオボーボー」。
完成して4年。すっかりご無沙汰していました。ちょっとした相談事があり4年ぶりの訪問です。時を経てますます土地になじんでいます。
娘さんも息子さんも揃ってドイツ留学してしまい、今ではご夫妻だけで高原の生活です。
梅雨明け前までにはその冬の薪は割り終えなくてはいけません。ところが往々にして力尽きるのです。それが問題です。
この冬の薪はほとんどが唐松と赤松。ナラなどの広葉樹は手に入りにくくなっています。もっとも、成長に時間がかかり、より潜在の森に近いナラやクヌギを薪にする事は、奨励できないことです。とはいえ、唐松赤松は敬遠したいのが本音。どうしてか?割ってみて下さい。そして燃やしてみて下さい。すぐ分かります。
まず、玉切りはむしろ楽です。でも目がよれているので、また節だらけなのでスカンッ!とは割れないのです。大概の人は途中で断念するでしょう。秘密で教えましょう!背割りをしておくのです。直径の3分の1は深さが必要です。そうしておけばあら不思議!スカンッ!と割れるんです。
そして、燃やして下さい。・・・・すぐ燃え尽きます。置き火にならないのです。だから火が落ちてしまわないように、しょっちゅうくべなければいけません。薪のストックは広葉樹の場合の2割り増しで考えておかないと、寂しい早春を迎えることになります。
それでも今年もやはり力尽きてしまいました。少し不足しているのは分かってるんですが・・・・・。
庭のデザインをよくします。花をめでる木。幹立ちを楽しむ木。紅葉を楽しむ木。適材適所に配し、空間を創ります。水が引き込めればなお良いです。木たちが人の生活と対話するように仕組みます。
ただ、よくある「ガーデンデザイナー」ではありません。もともとある森との連続した流れにデザインするのがPDO流の家森づくりです。創るというよりも「再生」に近いかもしれません。
でも、人はせいぜい建ててから30年、住まいは百年ももたず土に還ります。木は樹となって何百年もそこで長生きをつづけます。ですから、PDOは育てたミズナラやハル楡の苗をそっと片隅に植えておくのです。百年後にはここが大昔のように潜在の森にもどり、多くの生き物が笑っている事を夢みて。