ヘムロックヒル・・・栂の丘、そう名づけた家が出来たのは、今からもう20年も前のことだ。都会をはなれ大好きな八ヶ岳の自然の中で暮らしたかった。
設計図は当時事務所を開いていた東京で描いた。毎週の様に山歩きで八ヶ岳に通っているというのに、いざ住まいを設計しようとしたとき、風土についてほとんど知識がないことに気づいた。
冬の風、夏の風はどちらから吹く?
日照時間は?
どんな植生?
土の成分は?
地下水の流れはどこからどこへ?
・・・・形を出してしまう前に多くの勉強をした。
こう見えても東京時代の私は、ビルや狭小住宅の設計に明け暮れた。そんな中、自邸の設計は自分を取り戻すためになくてはならない時間だったのだ。
初日は小雨の降る中、旧軽銀座を散策しながら朝ダイのウォーミングアップ。朝に食べるパンなども買い込みながら、すでに新しい体制づくりに向けての対話がはじまっています。
続きはエクシヴでSさんと合流した後、じっくりと・・・アルコールはしばらくお預けです。
PDO名物、朝ダイは今回軽井沢エクシヴで行ないました。メンバー3人のほか若手建築家のIさん、住環境プロデューサーのSさんを加えてのダイアローグでした。テーマは「品質・性能と現場管理」です。
やたらと豪華な施設ですが、非日常であることは何よりです。日常の雑多な業務を忘れて、本質に迫る対話にはうってつけです。
今までになく実践的で、身に迫った具体的な内容について、多くの対話をし、実りある脳の刺激がありました。
小学6年生ころ御徒町の本屋で買ってもらった、「頭の体操」は当時の私にとって愛読書の1つだった。その中に、妙な曲線図形があり「これは何か?」という設問があった。
日本の主な山岳名と主要な河川の源流から河口まで、日本地図に描いて見せることの出来た、いわゆる地理オタクでもあった私には、これが日本列島の標高2000メートルの平断面であることは一瞬でわかった。
さて、数十年の時を経て、そんな事をふと思い出し、八ヶ岳が国定公園に指定されている、標高2200メートルラインの断面形どんなだろう?ということで早速描いてみた。巨大な洪水が襲い全てが水没してしまったら?そんな事を空想しながら絵にしてみた。
なんて味わい深い図形なんだ・・・・・。南北に連なる険しい岩の連続はゴジラの背びれを思い出す。
私がそして私の父がこよなく愛し、くまなく歩いた八ヶ岳の峰峰は永遠であって欲しい。