15の歳から始まった軽井沢通い。それでも建築家としての初めての仕事は18年前からだ。その冬、北軽井沢のペンションの現場の帰りに、始めて「カーボーイステーキ」に立ち寄った。
図面をペラペラと眺めていると、低音でやたらと押しの強いマスターが話しかけてくれた。「設計士さんですか?ログを作るのですか?」「いいえ。私はログはやりません。」そんな会話をしたのを覚えている。
それから軽井沢では20数件の建築をさせていただいた。そしてこの4月からは追分に事務所を開いて、腰をすえて軽井沢建築に取り組む覚悟をした。
さて、久しぶりにカーボーイステーキを訪れた。ここが大好きで行く前の日は夜も眠れない次男に内緒だ。彼はいま大学受験をひかえてねじり鉢巻状態。だからステーキはお預けで1000円のハンバーグランチにした。
図面をペラペラと眺めていたら、低音で押しの強いマスターが気さくに話しかけてくれた。「設計士さんですか?」
世紀末芸術とえばいわずと知れた19世紀末のヨーロッパを席巻した、デザイン工芸運動のこと。アールヌーボー(新芸術と訳します)とも言われますね。産業革命のオートメーション化で、ものづくりの画一化、均質化が極端に進み、その反動としておこった動きで、近代のデザイン思想の基となった出来事でした。
それはさておき、わがヘムロックヒル(私の家の愛称)にも、かのアールヌーボーのガラス工芸作品さながらの、美しくもはかない「氷の華」が冬になると咲きます。ヘムロックヒルは25年前、気密も断熱も全く考慮されることのない、未熟な建築家(私)によって創られました。でもそのかわり、こんなにも美しい花が毎朝楽しめるのです。