建物に120度や135度といった角度をつけることを「への字プラン」と呼んでいます。
自然地形に馴染みやすく、高低差も読み込めば様々な環境に適応可能です。
敷地には常に移ろい一定でない「流れ」があります。
主に日照や風、水の流れです。
への字プランは水に対して合理的に対処できます。
地中を流れる伏流水や一時的な表流水を建物の背後で受け流し、
南面の庭を湿気のない快適なものにしてくれます。
写真は窓枠の断面部分です。
乾燥により木材に隙間が空かないよう、あるいはもし空いても壁の中が見えないよう、薄い板を挟んでしっかり固定するのですが、
角度があることで難易度の高い仕事になります。
また、基礎工事でも角度の確認作業をより入念に行う必要があります。
こういった技術的な裏付けにより「への字プラン」は実現しているのです。
ユニットバスと聞くとデザイン的に苦手意識がありました。
洗面との繋がりを出しにくく、非日常性に劣るイメージがあったからです。
しかし結局は設計次第。
ガラスドアや脇ガラスを選び、南向きの大きな窓を設けることで
非日常性が損なわれず洗面との繋がりも確保できます。
メンテナンス性が高いことはユニットバスの大きなメリットです。
肩湯やカラリ床といった機能も取り入れればより快適なものになるでしょう。
オーナーのこだわりやコストバランスに合わせて選択します。
「吾唯足知(われただたるをしる)」という言葉があります。
直訳すると「私は、満ち足りていることだけを知っている」という意味です。
人は求めれば求める程に満たされない欠乏感を抱いてしまいますが、
「すでに満たされている」と考えられれば、同じ景色も違って見えるのではないでしょうか。
1LDKで床面積21.4坪。
暮らしに必要な機能が全て盛り込まれた、最小であり最大の家です。
庇でカバーされたデッキスペースは家の中の様な、外の様な曖昧な空間です。
季節の風や香りを感じながら、心の赴くままに目の前の景色を楽しむ。
そんな穏やかな森の暮らしを満喫できます。
キャンプには暮らしの原点が詰まっています。
テントを張り、火を起こし、食事を作る、、、
様々なことが便利になった現代ではこういったシンプルなことが特別に感じます。
無駄をそぎ落とす程に人と環境との距離が近くなるように思います。
暮らしをミニマムに考えると小さな2階建てになりました。
ハイド(野鳥を観察するための小屋)の様にひっそりと、
うねる地面にピンポイントで打つ楔の様な家です。
窓辺を中心に据えた暮らしは、時間の流れや季節の移り変わりに敏感になります。
日々のちょっとした変化に気が付く幸せ、ミニマムな暮らしにはそんな魅力があります。
ギャラリー・間で開催中の
「o+h展:生きた全体―A Living Whole」を見てきました。
建築家のメッセージの中に以下の一文がありました。
「建築を含む『生きた全体』を考える時、私たちは、建築を自然から離れた人工物というよりは、
生き物としてとらえるところから始めてみたいと思います」
有機的な造形から建築に息づかいを感じ、
人々を惹きつける魅力となっていくのかもしれません。
スタディ模型の数々、、、人間の脳内に迷い込んだかの様です。
1つの建築が出来上がるまで様々な葛藤や想いがあり、
過去のプロジェクトとも絡み合って思考が渦巻いている、
そんな混沌とした状態が表現されているように感じました。
建築の着想はどこから得られるのか。
恐らく建築家それぞれにアプローチが違い、
同じ景色を見ても感じ方が違うように、様々な視点や深度があるのだと思います。
そういった人との違いもまた面白いところです。