かけがえのない生活の根拠となる家を築くために、
もう既に土地を入手された方、これから入手しようと思っている方々に参考になれば幸いです。大自然の中での多くの設計経験、施工経験から得た「土地の読み方」についてお話します。
一般に不動産屋さんの価値感で「良い土地」とは何かご存知でしょうか。それは、建築に際し考慮することが少なく多くに対応できる土地、すなわち強い特徴のない土地が良いとされます。具体的には、
1、出来るだけ整った矩形で変形してないこと。
2、平坦地であること
3、道路付けがよいこと
4、ICや鉄道駅から近いこと
などでしょうか。
それらを満たしている土地があったとしても一番大切なワクワク感のある土地とは限りません。「良い土地」を作るために余計な加工をして、かえって魅力を無くしてしまったり風水を悪くしてしまう例も多く見てきました。
不動産屋さんの価値観は単眼的です。
家はそこに住まう家族と土地の特性が融合された唯一無二のものであるべきです。
中村@PDO 写真;松村誠
「バラがいっぱい咲いたよ!見に来て!」朝6時半にオーナーから電話がかかりました。
もちろん起きていましたよ。
今年は梅雨入りしてから前線がはるか南に停滞したまま。
八ヶ岳高原でもとても乾燥した晴天が続きます。
庭木屋さんは悲鳴を上げる一方で、バラ愛好家にとってはこの上ない年となりました。
「朝露で濡れてきらきらするから朝がよいよ。勝手に見に来てね。」
早速見に行きました。
気持ちが華やぎます。
中村@PDO
ストックホルムあるアスプルンド設計の森の斎場(1940)には2回訪れました。
1度目は朝霧にむせぶ巨大な黒十字架にただただ感動しこころが天に昇ってしまいました。
そのせいか細部のデザインに目が行き届かなかったと思います。
そこで再度訪れました。
敦子さんはスウェーデンから資格を得たアスプルンドの案内人です。
隅々に渡り建築家アスプルンドの愛にあふれたデザイン配慮を案内いただきました。
様々な宗教に対応するこの施設には「寛容」という言葉が当てはまります。
葬儀で何年振りに、こんな機会にしか会うことのなかった親戚同士、兄弟などが、
一堂に会す控え部屋がありました。
そこに置かれた長椅子。
への字に曲がっています。
デザインの意味わかりますか?
微妙な距離感のある物同志が付かず離れず対話する、次第に打ち解ける・・・・。
I型でもL型でもダメなんです。
私が多用するへの字型平面の家。
環境と人のすみかが微妙に関わる形。
建築家アスプルンドと私は時空を超えて握手しました。
中村@PDO