その土地の周辺環境の中でもとりわけ良いビューポイントを見つけましょう。
①気持ちのよい「抜け」のあるポイント、方向をさがす。
・美しい林、深い森、森と森のすき間の空
・そのエリアのシンボリックな山を見通すポイント
赤岳、甲斐駒ヶ岳、浅間山…など
・美しく手入れされた近隣地の庭、空地を見通すポイント
その気持ちよいポイントこそが皆さんの家の中の特等席になるのです。
そこはくつろぎのソファであったり、キッチンシンクの前であったりします。逆に生活インテリア空間に取り入れたくないものも探しましょう。
②見たくない物体を見通す方向
・アスファルトの道路
道路が見えるということは車が走り抜けるのが見えるということです。
・隣地の物置や家、玄関ドア、窓など
隣家の生活の気配というのはとても気になるものです。
それらのポイントが全くない、という土地はないと思います。
次のステップ、家づくりの間取りに活かしていきましょう。
良いビューは大胆に取り入れ、望ましくないものは徹底的に隠す、ということです。
日本では手付かずの森(原生の森)はブナが主体の広葉樹の森か、
タブやシイが主体の照葉樹の森に大別出来ます。
しかしながら、そのような森はもはやほんの一部にしか存在しません。
なぜなら、人が健康に暮らすためには原生の森はあまりに暗すぎるからです。
土地に自生している植物は多くの情報源です。
きれいな土におおわれていて雑草すらなかったり、
樹の根元が土でおおわれ露出していなかったりしていたら、
土地本来の地面に何らかの理由で他から土を運び入れたことを意味します。
① 雑草だらけ。
一年草なのか多年草なのかが重要です。基本的に木がまったくない土地は要注意です。
また、雑草でもある特定の範囲が違う種類が繁茂していたら、
そこは古い住居の撤去あとであったりします。
② 地面や樹の根元がコケで被われている。
霧が発生しやすいエリアであったり、流れ込む水の影響で地面付近が湿潤状態であることを意味します。
③ クルミ林
クルミは水が大好きで寿命の短い木です。敷地に一本でもあれば要注意です。
列をなして自生していたらほぼ間違いなくその下には水脈があります。
巨木となるミズキ、ハルニレ、ケヤキなどは同様に豊富な地下水を好みますが、
クルミが自生するエリアと同居はしません。
伏流水の多い敷地は設計上の配慮が欠かせません。
④ 赤松、植林唐松、白樺
伏流水は少なく乾燥していますが、土地に養分が少なく皆伐採後の二次林です。
寿命が短く60年生あたりが限度で立ち枯れします。
また、最近は松枯葉病が範囲を拡げてきており若くても枯れていきます。
立ち枯れした木は倒れ家屋を損壊させますので建築に際し伐採が必要です。
⑦コナラ、カエデ、クリ、ケヤキなどの高木からマユミ、ヤマボウシ、ツリバナなどの中木
土地に養分が多いので皆伐採後の二次林であるが、豊かな植生です。
建築に際し最小限の伐採にとどめましょう。
⑤ ブナ、ミズナラ、ダケカンバ、コメツガなどの高木からタモ、ヤマボウシ、カエデなどの中木、アセビ、ニシキギ、ツヅジなどの低木あり。
潜在植生の貴重な森です。一千年をかけて育まれた森です。
こうした森に家を建てるのはやめましょう。
建築に際しいくら木を大切にしたくても建物に近接して木を残すと後々困ったことになりますので注意が必要です。
幹が屋根を覆うようになることが予想される樹は残念ですが原則として伐るべきです。
それでも折り合いをつけて同棲する場合もあるでしょう。
写真は「欅3兄弟の家」です。
どんなに配慮しても建築行為で樹の健康は損ねます。取り戻すには
それなりの年月が必要となります。
自然環境豊かなエリアではたとえ平坦に見えても地面は傾斜していることが普通です。
また、小刻みに起伏のある地面もあります。
傾斜にはそれぞれに理由があるので探ってみましょう。
浅間山山塊や八ヶ岳連嶺など大きな山の麓は穏やかに傾斜しています。
特に南斜面は古くから人が居住しています。
山林であれば必ず傾斜しています。
平坦であれば田畑の跡か湿地や池だったかもしれません。
あらかじめ傾斜角度を知っておくことは大切なことです。
角度30度以上の斜面が高さ2mを超えて続く場合、
法律上「がけ」という定義にはまり建築に際して大きな制約を課せられます。
また、敷地自体は平坦でも、隣接して「がけ」がある場合も同様に制限を受けます。
良く注意してください。
小刻みに傾斜がある凸凹の敷地は2通りの理由が考えられます。
一つは大きな岩が土の下に点在、または列をなして存在する場合です。
基礎工事でその処理に多くの費用がかかります。
もう一つは過去に表流する水の流れがあった場合です。
今は無くてもその下は地下水脈(伏流水)となっている場合や
豪雨などで水が流れることもあるかもしれないので注意です。
その土地が「感じが良いな」と直感する理由の一つに隣接する家の印象は大きく関わっています。
そこに住む人の心の中までは一度や二度会っただけではわかりませんが、
家や庭を見るととても良くわかることがあります。
ものを大切にする人、街並や環境に配慮する人、動物好きな人、色々です。
周囲の家々をよく観察しましょう!
・奇をてらわず、バランスの良い美しい家は、周辺環境を良くします。
またその住み手も物事に対する意識も高く、現代的な感覚を持っているのかもしれません。
・建物のどこが傷んでいるかよく観察しましょう。
北側の地面にコケが生えていたりしたら要注意です。
地下水位が高く家が伏流水をせき止めているのかもしれません。
また、外壁、屋根、ベランダなど、どの様に傷んでいるか、汚れているか、
そしてその理由も検討します。
・キツツキの被害にあっていないか。
キツツキは繁殖の時期である5月頃にその縄張りを誇示するかのように外壁を叩くことが多いです。
実際にはその気持ちは人にははかり知れません。
周囲の家が被害にあっていたり、除ける対策をしていたりしていたら要注意です。
板壁であろうと塗り壁であろうと穴をあけます。
設計に際し何らかの工夫が必要になるでしょう。
・設備のシステムについて、エリア固有の共通点を見つけましょう。
凍結防止ヒーターの有無、ガスなのか灯油なのか、ボイラーのメーカーはどこが多いのかなど多くの情報を得ます。
現代日本では中国から直輸入された家相は風水とも呼ばれ易学に属します。
でもそれは日本風土に適合したものではありません。
考え方を学ぶことは有意義なことですが、結果のみを鵜呑みにして支配され、
設計の自由を束縛してしまうのはとても不幸なことです。
風水学は統計学、地勢学、物理学など統合した深い学問と理解しています。
「鬼門」という言葉をしばしば耳にします。
これは中国のある特定の都市における蒙古軍や他の民族軍が攻めてくる方向を
意味します。この方向に玄関などあれば当然無防備に侵入を許してしまうわけです。
現代日本における「鬼門」とは何か?
一つには「車」に関わります。
現代の車社会において、この問題は大きく設計に影響する現代の鬼門です。
❶L字、T字型道路突き当りの土地
T字形道路、L字形道路のつきあたりの敷地は「車」の進行方向に開くことになりますから、
そちらに向かって玄関があったり重要な開口部があると、直進エネルギーやヘッドライトの圧力を受け入れてしまいます。
設計者がそれを理解さえできていれば、その方向に巨石を置いたり、
常緑樹を植えたり、窓や玄関の向きを工夫することでなんなく回避できます。
見過ごしてしまうと重大な住み手への健康被害もあるかもしれません。
❷弓なり道路の外側の土地
弓なり状となった道の外側に土地がある場合交通圧迫を受けますので注意が必要です。
河川氾濫の災害映像を見る機会が多くなりました。
蛇行する河川の外側に氾濫被害が集中するのと同じ理屈です。
勢い余った「車」の直進圧迫を常に受けますし、時には本当に侵入被害を受けることも
あります。