この八つ石、どうにかして良い使い方出来ないものか?真っ先に思いつくのが石焼プレート。実際私は牛肉をこの上で焼いて食べています。サーロインなどの脂が多いものでなく、ヒレやモモなど、赤身の肉を焼くと良い。でも、富士でも浅間でも「溶岩焼き」などと称して、皆やっていることでつまんないな。
そんな事を考えつつ、8FINの家のご夫妻に、少々遅めの新年のご挨拶に行ってまいりました。
八つ石プレートを持参いたしましたら、早速葉っぱをもいで大福をのせてくれました。「そうか・・・。食器として使うのも良いな・・・。」などと思っていましたら、「すこーし丸くくり抜いたらもっと用途が拡がりますよ。」目からうろこ、とはまさにこのこと!重大なヒントをいただいてしまいました。
そこで早速スケッチ!
八ヶ岳南麓では太古の昔、大規模な山体崩壊がありました。南麓一帯が岩だらけなのはそんなわけです。
そんな岩はとても魅力的なのに、せいぜい庭園に使ったり、土留めに使ったりする程度です。
エリアで産出する石はその場の特質をとてもあらわしていて、それを建築に利用することは建築家の夢です。
しかしながら昨今の合理性は、流通に乗らない商品は価値なしとみなされ、また、大量消費されないものはすなわち「特注」というラベルを貼られ、とても高価なものとなってしまうのが現状です。
それでもこの「八つ石」をどうしても建築に使いたい。この石は凝灰石なわけですが、切り口が薄紫で雲母分を含み、とても縄文的な力強さ、美しさを持ちます。
まずタイル状にして見ました。数年前E邸の外壁の一部に使ってみました。
そして今度は「天神の曲がり家」のキッチンカウンターに採用する事が決まりました。
そこで本磨きをしてみたら!石屋さんもビックリ!なんて美しいのだ!!
15の歳から始まった軽井沢通い。それでも建築家としての初めての仕事は18年前からだ。その冬、北軽井沢のペンションの現場の帰りに、始めて「カーボーイステーキ」に立ち寄った。
図面をペラペラと眺めていると、低音でやたらと押しの強いマスターが話しかけてくれた。「設計士さんですか?ログを作るのですか?」「いいえ。私はログはやりません。」そんな会話をしたのを覚えている。
それから軽井沢では20数件の建築をさせていただいた。そしてこの4月からは追分に事務所を開いて、腰をすえて軽井沢建築に取り組む覚悟をした。
さて、久しぶりにカーボーイステーキを訪れた。ここが大好きで行く前の日は夜も眠れない次男に内緒だ。彼はいま大学受験をひかえてねじり鉢巻状態。だからステーキはお預けで1000円のハンバーグランチにした。
図面をペラペラと眺めていたら、低音で押しの強いマスターが気さくに話しかけてくれた。「設計士さんですか?」