原石材さんを巻き込んで、もう5年越しで八ヶ岳の石を建材化することに取り組んでいます。かつては富士山ほどもあったと言われる八ヶ岳山塊は、太古の岩崩れ雪崩で多くの巨石を麓に運びました。
どこにでもある石。土留めにしか使われていない石。でも、割いてみると・・・・!なんて美しい薄紫色。これを何とか建材化したい。まずはタイル状にスライスしてみました。なかなかの質感です。床に、カウンターに、使ってみました。
丸い大岩を整形にスライスするのは、ちょうどフライドポテトをつくることと似ています。端の不整形な「耳」が残ります。全て残さずいただきましょう。
そんなわけで耳石のストックが出来ました。これをうまく壁に埋め込んで使うことを模索中です。
モデル1の用地は泉ライン整備のために切土され、養分が不足しているためにススキなどがかろうじて自生する平坦地です。ここに大きく3つのゾーンを設定し森を創造します。本モデル事業は山梨県「地域の森づくり活動」支援事業に指定されています。(NPO法人 八ヶ岳南麓景観を考える会 申請)
ゾーン1
植物生態学者 宮脇昭先生の提唱するポット苗混植法に則り、八ヶ岳南麓の潜在種、代替種のポット苗(約1000ポット)を植えます。南麓で採取した種から3年以上かけて育て上げた自生種約20種に加え、ブナ、小熊笹も植えます。植物同士の生存競争を促し早期に森を回復する手法です。
ゾーン2
潜在植生、代替植生の高木、中木、低木を植栽し、出来る限り自然林を再現します。ここではエリアならではの、山野草、地被植物も育みます。
ゾーン3
PDOスタジオという建築空間と植物のかかわりをテーマに「住空間と共にある植生」を試みます。
目的が達成され多生物が謳歌する森となるには何年かかるでしょうか。すぐに結論が出なくともそれを仕組む責任が今を生きる私たちにはあると考えています。
ゾーン1 ポット苗1000 植樹祭へのお誘い
●第1回目(ポット苗植え付け)
日 時:平成26年9月7日(日) 9時より12時半
午後の作業参加は任意
場 所:山梨県北杜市大泉町谷戸西泉8312-1
(泉ライン沿い、八右衛門出口湧水向かい)
主 催:NPO法人 八ヶ岳南麓景観を考える会
企 画:PDO建築事務所合同会社
樹木を育てる会
持ち物:軍手、バケツ、移植鏝、(できればスコップ)など
●第2回目(冬越し養生)
日 時:平成26年11月9日 9時より12時半
場 所:第1回目と同じ
主 催・企画:第1回目と同じ
問い合わせ:細田(担当)
tel:0551-38-3266
e-mail:hh@passivedesign.jp
ご興味のある方々のご参加を募っています。
事前の把握が必要なのでお問い合わせください。
かつて日本人の文化は森と共にありました。人の立ち入りを拒絶した極相の森であるブナ林、建築用材として領主が保護、伐採を禁じた樹(いつき)の森、薪や炭など燃料供給や堆肥づくりに利用されたコナラ、クリなどの雑木林。人の暮らしは昔から森の恩恵をうけ、バランスよく営まれてきました。多くの昆虫や鳥、獣も森を住処としてきました。
現代になって人口が膨大になり、それを賄う社会システムを築くにあたり、かつての森林文化は無きものとされました。森林は人にとって有用なものではなく、そこで育まれる生物多様性も無用なものと勘違いされてしまいました。すぐに金銭に替えられないこと、すぐに結果の出ないことなどを切り捨て、人間も自然界の一員であることを忘れてしまえば、健全によりよく生きるための場を自ら手放すことになるのです。
その一方、地球温暖化、異常気象、水資源問題など様々な環境問題を経験する中で多生物が暮らす森を育むことが、巡り巡って人の存在を維持するために不可欠であることに、最近になって多くの人が気付き始めています。自然の中に住まいを求めることは、外来種に占拠されて荒れた土地を豊かに変換するきっかけとなり、歓迎されることです。広大な土地に人の住まいはほんの一部です。何百年、何千年とその土地の人々と生きてきた土地本来の潜在自然植生の森林を育むことは、100年200年先を考えると、とても価値のある行為なのです。
森は国有林や国定公園でもない限り地権者のものです。森が地権者にとって有用でなければ、何の躊躇もなく破壊してしまうでしょう。でも、森はその存在自体が有用なものです。森を育む必要性を理解し、実行する人の心を私たちは育みたいと思います。また、新たに地権者となった住まいを築く人たちにモデルを提供したいと思います。