前橋からオープンデスクにやってきたレッドくん。20歳の青年です。今夜のねぐらは?テントを用意してあげました。
でも夜の森は・・・・・、風の音で森が鳴くだけでなく、鹿の群れは当たり前、うり坊の兄弟、狐、狸、オコジョ・・・野生動物の闊歩。不眠の一夜となるでしょう。
人は安心感を得るためにはある程度こもった空間を求めます。とくに無防備になる就寝空間は、外部の気配を感じたり、天井が高かったりする気積の大きな空間では、安眠できないでしょう。
そんなわけなのでテントはスタジオ内の広い土間に。ハウス イン ハウス です。
かつて丘状だった森を、泉ライン開通のために削り取ってしまった土地。PDOの八ヶ岳スタジオはそんなところに建っています。
宮脇昭先生の混生密植方式のポット苗1000本スペースと、野草の森づくりスペース、収穫の森スペース(畑です)、にゾーニング計画された外構構想。
今日から、いよいよ野草の森スペース整備の開始です。多くの野草のガーデンづくりに携わってきた、広岡さんと平井さんの指導のもと、PDOは森づくり体験をします。
まずは、スペースにはびこった雑草すべてを抜きます。すぎな、イタドリ、タンポポ、ふき、ヨモギ、ススキ・・・、獰猛な雑草群がはびこっています。実に地道な作業です。
「分水嶺にたつ家」のオーナーは、ご主人が動物医療生態、奥様が植物生態を専攻しているという最強のご夫妻です。「ブナの親樹を見つけた・・・」そうさりげなく情報がもたらされたのはつい最近のことでした。敷地周辺にブナの若木は発見していましたから、そう遠くないところに親樹があると予想はたてていたのです。
21年前に私が八ヶ岳に移住してから、まず初めにやったことは、潜在植生の森を見つけることでした。学術的に八ヶ岳南麓は「ブナ、ウラジロを主体とした混交林」と言うことになっているにもかかわらず、どこにもブナが無いことに疑問を持っていました。
先の大戦での燃料確保で伐採された?小海線蒸気機関の火の粉が原因の大規模山火事で焼失?そもそも建築材としては無用の樹(?)なので皆伐された?理由はよくわかっていませんがブナは一見現存していないのです。それでも急峻な谷あい地形では残存の可能性ありと踏んで、21年前に単独で調査した経緯があります。
今回発見されたブナの森はそんな単独調査で「ブナ確認されず」と判断されたエリアでした。なんて恥ずかしいこと。私の目は節穴だったということです。しかも、私の自宅から徒歩圏!
目通りの直径で1メートルはあろうかと思われる、ブナは幹にボコボコといくつものこぶがあり、樹齢数百年はありそうです。形成に一千年かかるといわれるブナの森。この森の植生調査には時間がかかっても、やりとおす価値があると思います。