PDOの新たな挑戦のステージ、「MOLINOTH」プロジェクト。
その拠点となる群馬県みどり市の「こうもりテラス」はショールーム兼スタジオです。
主体となる樋口工務店は地元で3代つづく実力派です。
昨年からつくり続けて途中休止もあり、ようやく完成に近づきました。
今日は工務店代表に英一さんから「外ステップのデザインどうしましょう?」。
当初の計画ではこれはコンクリートでつくるスロープだったのです。
それは将来の楽しみでとっておいてまずは木でつくることとなりました。
こうしたどうにでもできてしまうことこそ重要なのです。
この外ステップはこの施設の導入口、一番最初に来訪者が触れる(足の裏で)ところ。
かといって凝りすぎたデザインは全体の流れを阻害してしまうでしょう。
「んー!」現場で私は悩みこんでしまいました。
そんなわけで持ち帰り検討です。
できました。「されどステップ」の製作図です。
「ファンキーな庭にしたいんです・・・。」
ブックカフェの家のオーナーは、またまた難解なことをおっしゃいました。
この言葉には2通りの意味がありますね。
一つは「COOL」・・・いかす、かっこいい、という意味。
もう一つは「泥臭い」とでも言いましょうか、あまり好意的には使われない意味。
ことの流れから判断する必要があります。
この場合「泥臭い」でしょう。
垢ぬけて整いすぎた庭、というよりも粗野で野性味のある庭、そのように私は解釈しました。
環境とは粗野なものです。
ただ、人の手の加え方によって美しくも、醜くもなるものです。
庭も同じで、「FUNKY GARDEN」はまさにPDO流でもあります。
絵を描いてみました。
コニファーの列植、野芝全面張り、外来種花・・・funkyじゃないですね。
数年に一度の海外建築視察旅行をしました。
10年ぶりにアールト、アスプルンドを訪ねる旅です。
旅も終盤になってきますと仕事のことが気になっていきます。
「SNOWBELL HOUSE」の実施設計作業は、
共同設計をしている橋爪フェローに委ねて旅立ちました。
「ダイスケさん、図面チェックお願いします!」
今や通信はワールドワイド。世界のどこにいても図面が開けます。
ディテールの詰めの甘いところを発見しました。
H鋼を可動間仕切りの鴨居にする個所です。
ホテルのワークデスクは仕事場に早変わり。
名建築探訪で脳はぎらぎらに躁状態です。
うまく納まりが決まりました。
橋爪フェローに「送信ENTER!」
オーナーに完成検査をしていただき、準備を整えてお引渡しをするまでの間に、写真家、松村誠さんに完成の姿を撮影してもらいます。とかくあることですが、感動の空間体験を写真に撮ってみても、どうもうまく撮れない、もっと良い空間なのにつまらなく撮れてしまう・・・・そんな体験をすることは多いと思います。
松村誠さんの撮影流儀は、人の感動体験をどのように写真表現するかがテーマになっています。それを実現するためのカメラやレンズ、光の演出を追求します。そこが普通の写真家とは違うところです。
一方で、建築家の私は設計の意図を写真で表現したい、その一心で撮影には付きっきりでモニターを確認します。この時点の空間はもちろん生活感は表現されません。閑散として冷たい空間と映るかもしれません。でも、これが現時点での仕事のレコードなのです。ここから先、そこに彩りを加えていくのは、オーナー家族の仕事、ということでしょう。