うずまきスタジオ入り口のサイン塔は彫刻家上野玄起作のアイアン製です。
厚い鉄板を錆びるに任せています。
今まではススキに埋もれがちでかわいそうでした。
細川庭店の協力を得て岩でエリアを囲い、足元を高い位置に据えなおしました。
八ヶ岳稜線の硫黄岳周辺のガレ場を再現したいと思いました。
風雪に耐えきりっと立っている鉄のオブジェと八ヶ岳独特の赤いゴロタ石。
スタジオ外構整備で産出した石をすべてここに集めましょう。
そして、白骨化したような針葉樹の枯れた幹をあつらえ、スゲ系植物を点在させ・・・・、
んー、なかなかの出来栄え。
打ち合わせ場所に真っ先にやってきたのは「こみみ」さん。
大きなふわふわ耳がとってもキュートです。
とっても人懐こく、犬不足な私は思う存分撫でくりまわしました。
「さぁ、打ち合わせを始めましょう」というとき。
ふと見ると、こみみさんが中村のかばんに顔をつっこんでいます。
すぽんと顔が抜けると、宝物でも見つけたかのような顔で中村のバンダナをくわえていました。
洗濯してあるとはいえ、中村のエキスがたっぷりと染み込んだバンダナ。
こみみさんは、「たまらん…!」といった感じでなかなか離してくれません。
かわいいなぁとほっこり気分で、ちらと隣を見ました。
そこには、ちょっと困ったような、恥ずかしそうな、なんともいえない表情の中村がいました。
完成から一年ちょっと。
経年検査と造園計画のお打合せで、
甲斐駒コーナーウィンドーのある家を中村と訪ねました。
引き渡し時にはまだ未完成だったリビングのコーナー。
低いソファと好きな絵本や小物たちが揃い、
小さな世界をつくりだしています。
環境が求める要件と住まい手の要望。
そのふたつを建築家が受けとめて、
未来のあり方を予見した建築デザイン。
実はお引き渡し時の段階では、まだ未完成なのです。
住まい手が暮らす時間の積み重ねと身近な関係性が、
家族の居場所をつくりあげていくのだと思います。