「たからばこの家」計画地は多くのアカマツやカラマツが生い茂ります。
針葉樹が生い茂る林では、陽の光が林床まで届きません。
そんな林床に稚樹がたくさん顔を出していました。
がしかし光が入らないことによって多くの稚樹は枯れてしまい、
その中の一部の木々しか成長できないことでしょう。
建築に際し、赤松や唐松といった針葉樹を伐ることになります。
たくさんの広葉樹が成長する環境が整います。
広葉樹の森は多くの動物、昆虫を育むことでしょう。
土の中ではまだ見ぬ植物たちが日光浴できる日を首を長くして待っています。
うずまきスタジオの野草の葉。優れた撥水性をもっています。進化の過程で獲得してきたデザイン(かたち)です。
水玉が転がり落ちる時、表面についたゴミを一緒に取り込んで流し落とす「自浄作用」の機能を持ち、光合成効率を上げることに一役買っていると言われています。
顕微鏡で見た時の葉の表面形状に、その秘密があるのですが、ここにデザイナーの意図は存在しません。
住宅、別荘、保養所、研修施設、etc・・・ 人が介在する建築であること。
ここに、そのプロセスの中で建築家やデザイナーが果たすべき役割が示唆されていると感じています。
美鈴の家は唐松の木々に囲まれています。同じ別荘地内では広葉樹を主体とした多様性のある植生の土地もあります。
このエリアはおそらく開発計画で、人の手により唐松の植林が行われ、唐松がその勢力を広げてきたのでしょう。
自然に沿う暮らしの中で、本来の植生に近づけたいと感じはじめたオーナー。
増えすぎた敷地内の唐松を切り林床に光と風を入れることを考えて、地域で暮らす伐採のプロに重機を使わない仕事を依頼したのです。
久しぶりに訪れた美鈴の家。光が適度に入る敷地となり、広葉樹の幼樹や野草たちが元気に育ちはじめています。
都会の暑さを逃れ、チャム・クリス・ライナー・ジルが気持ちよさそうに駆けまわる姿が目に浮かびます。
細田@PDO
※潜在植生とは、時間の流れに沿って環境が植生を規定し、環境がさらに植生を変えてゆくという、環境と植生との相互作用の結果進行する遷移とは無関係に、いま人間の影響がすべて停止されたときに、その立地が支え得る自然植生のことで、現実には存在しない理論上の植生概念である。(宮脇昭『植物と人間』より抜粋。ラインホルト・チュクセンが提唱)
自然の中に暮らすと焚火をしたくなります。
直火に触れ合う経験の少ない都会人の憧れでもあるでしょう。
火を囲んで野外料理、談笑・・・楽しいことです。
そして庭掃除で出る枯葉、枝など燃やす場も必要です。
石炉があれば地面への類焼が防げます。
石炉は自分で造りましょう。
私もいくつも造りました。そして使ってみました。
用途に応じてさまざま考えられますが、
クッキング主体であれば石は地面から300は立ち上がっていた方が良いでしょう。
ただ、多くの場合庭掃除にも使いますから、その兼用型をご紹介しましょう。
ポイントは、
正面石を地面とそろえて据えること、水洗いできるように炉床をコンクリート平板敷きにすることでしょう。
なお、地面よりも低い炉床としてしまうと使いづらいです。
石は地域産を用いてください。でも河原などでの採取は禁止されていますからご注意!