その土地が「感じが良いな」と直感する理由の一つに隣接する家の印象は大きく関わっています。
そこに住む人の心の中までは一度や二度会っただけではわかりませんが、
家や庭を見るととても良くわかることがあります。
ものを大切にする人、街並や環境に配慮する人、動物好きな人、色々です。
周囲の家々をよく観察しましょう!
・奇をてらわず、バランスの良い美しい家は、周辺環境を良くします。
またその住み手も物事に対する意識も高く、現代的な感覚を持っているのかもしれません。
・建物のどこが傷んでいるかよく観察しましょう。
北側の地面にコケが生えていたりしたら要注意です。
地下水位が高く家が伏流水をせき止めているのかもしれません。
また、外壁、屋根、ベランダなど、どの様に傷んでいるか、汚れているか、
そしてその理由も検討します。
・キツツキの被害にあっていないか。
キツツキは繁殖の時期である5月頃にその縄張りを誇示するかのように外壁を叩くことが多いです。
実際にはその気持ちは人にははかり知れません。
周囲の家が被害にあっていたり、除ける対策をしていたりしていたら要注意です。
板壁であろうと塗り壁であろうと穴をあけます。
設計に際し何らかの工夫が必要になるでしょう。
・設備のシステムについて、エリア固有の共通点を見つけましょう。
凍結防止ヒーターの有無、ガスなのか灯油なのか、ボイラーのメーカーはどこが多いのかなど多くの情報を得ます。
台風一過の爽やかで気持ちのいい秋の日、
PDOがフェローとして絶大なる信頼を寄せている写真家・松村誠氏による
「亀甲模様の家」の撮影が行われました。
撮影は朝から晩までかかります。
明るい太陽を浴びた昼間の顔、そして星空に浮かぶ顔を撮影します。
写真はそこにある”命”を写しているんです。と松村氏は語ります。
家を建てた人の思い、生活をするご家族の想い、建築家中村の情熱、
それらがその家のかもし出すオーラとなって、命が吹き込まれます。
そこに流れる”命”を感じて撮影する。
写真は不思議と、撮影する人のそのものが写りだされます。
松村氏の心の目を通した亀甲模様の家、どんな写真にできあがるか。
私達はいつもワクワクしながら待っています。
現代日本では中国から直輸入された家相は風水とも呼ばれ易学に属します。
でもそれは日本風土に適合したものではありません。
考え方を学ぶことは有意義なことですが、結果のみを鵜呑みにして支配され、
設計の自由を束縛してしまうのはとても不幸なことです。
風水学は統計学、地勢学、物理学など統合した深い学問と理解しています。
「鬼門」という言葉をしばしば耳にします。
これは中国のある特定の都市における蒙古軍や他の民族軍が攻めてくる方向を
意味します。この方向に玄関などあれば当然無防備に侵入を許してしまうわけです。
現代日本における「鬼門」とは何か?
一つには「車」に関わります。
現代の車社会において、この問題は大きく設計に影響する現代の鬼門です。
❶L字、T字型道路突き当りの土地
T字形道路、L字形道路のつきあたりの敷地は「車」の進行方向に開くことになりますから、
そちらに向かって玄関があったり重要な開口部があると、直進エネルギーやヘッドライトの圧力を受け入れてしまいます。
設計者がそれを理解さえできていれば、その方向に巨石を置いたり、
常緑樹を植えたり、窓や玄関の向きを工夫することでなんなく回避できます。
見過ごしてしまうと重大な住み手への健康被害もあるかもしれません。
❷弓なり道路の外側の土地
弓なり状となった道の外側に土地がある場合交通圧迫を受けますので注意が必要です。
河川氾濫の災害映像を見る機会が多くなりました。
蛇行する河川の外側に氾濫被害が集中するのと同じ理屈です。
勢い余った「車」の直進圧迫を常に受けますし、時には本当に侵入被害を受けることも
あります。
前回は太陽と風の流れについてお話ししました。
今回は最もくせものの水についてです。
③水の流れ
水流は大きく分けて表流水と伏流水があります。
その影響によっては人の健康ばかりか建物の寿命までも縮めてしまうので重要です。
ことに伏流水については目に見えないので建築時に処置しておかないと後々の対処ではむずかしいので注意です。
土地をよく観察してみましょう。
・表流水が敷地に流れ込んでいないか?
最近のゲリラ的豪雨は思いもよらない水路をつくります。
道路は多くの場合、河に一変します。
この河の先、突き当たりに土地があれば、全てが流れ込みます。
また、道から土地が低かったりしても水が流れ込みます。
堆積した土や、枯れ葉などを注意深く観察することで読むことができます。
養分が多く流入しますから秋のキノコも旺盛に出ることが多いです。
・伏流水が敷地に流れ込んでいないか?
都会とちがい自然の多い土地ではほとんどの場合、
大なり小なり地下水(伏流水)の影響はあります。
ただ土地はスポンジの様なもので土地によって水を常に含んでいる場合や、
速やかに抜けていっている場合などがあります。
湿潤地は選ばない方が良いです。
水路や小川が土地に沿っていたり、土地を横切っていたりすれば
その水位が土地の地下の水位と思って下さい。
また、クルミが自生していればほぼ間違いなくその根の下には伏流水が流れています。
・土石流危険災害区域
河川に直接土地が接していない場合でも、
渓流が扇状にひらけるところや、歴史的に土石流の災害経験のあるエリアは
土石流危険災害区域に指定されていることが多いです。
行政の災害マップなどで確認することができます。
イエローゾーンについては私は気にしませんが、
レッドゾーンについては法的に構造の制約も受けるので注意が必要です。
インフラが整備された都市と違い、自然旺盛な環境では水の流れについて
慎重な観察と洞察が必要となります。
ほとんどの場合、あらかじめの対処設計で問題は解決できますが、
一番いけないことは気が付かないことです。