現地調査などで敷地を訪れる際、
シンボル的存在の大樹に出会うことがあります。
昔からこの土地に根付いた樹木ですから
大切に扱いたいというのはオーナーも私たちも同じ考えです。
「空に開く三枚屋根の家」では大きなハルニレの木が自生していました。
プランはハルニレから円を描くように距離を保ち、外壁もそのまま曲面にしました。
根への影響も考慮して、ガレージからのアプローチは
地面から浮かしたはね出しコンクリートになっています。
この場所にハルニレがあったことで必然性あるプランが生まれ、
ハルニレの存在によって建物が敷地に馴染んでいます。
時を待つ — おおらかに —
森化事業のリーダーの愛さん、実は釣りが趣味。学生時代には奥入瀬川の支流で渓流釣りも楽しんでいます。水(川)に興味を持つようになったきっかけは高校2年の時に出会った平瀬川の護岸工事。当時住んでいた川崎を流れる平瀬川という一級河川を自然護岸にするという動きがあったそうです。母親と参加した役所と工事関係者と住民の話し合いの場がその後の進路に影響を与えました。
自然環境を生かすPDOのランドシャフトデザイン。スイスで生まれたと言われる近自然河川工法に通じています。自然界の構造を理解して自然の力を借りる工法です。
ここでいう自然とはマクロの視点でのエリアの地形、土地の微気候をつくりだす敷地内や向こう三軒両隣がつくる自然環境。そして忘れてならない人間。
だいぶはみ出しているとはいえ、ひとも自然界の一部。ひとが生み出す社会構造を読み解き住まい手の力を借りること。これもパッシヴデザインです。