「女の神山の家」建築実績に公開しました。
蓼科高原の標高1,600mのカラマツが美しい別荘地です。
アスプルンド設計の「森の墓地」は1940年の建築作品です。
日本で言うところの斎場、セレモニーホールです。
葬儀で集まった親戚、新旧の友人たちの微妙な距離感は今も昔も変わらないのでしょう。
待合ホールに置かれる椅子をデザインしたのもアスプルンドです。
この4人掛けの椅子が直線ではなくへの字に曲がっている理由は、
この建築家の人への愛情の深さを物語っています。
横並びではあまりによそよそしく、かといってL字ほど親密でもない、
への字型が関係性からしてよいバランスだということです。
大自然のなかにおける人の家でも、
人と自然との関係性、距離感を大切にしたいと思います。
その解がへの字型プランです。
森、動物、水流と建築がなじむあり方は、
PDOが追い求めるデザインです。
標高1,600メートル超えの蓼科の別荘地。別荘地内のPDOの施工した家の外観をご覧になられた方から相談をいただき、検討されている敷地を中村と見てきました。
最近にしては珍しく緩やかな傾斜の林間の敷地。敷地に立つと抜けの方向も見え、どのようなプランが理にかなっているかのかがわかります。
敷地が求めるものと建主の希望、折り合いつけて最適解を探ります。
「吾唯足知(われただたるをしる)」という言葉があります。
直訳すると「私は、満ち足りていることだけを知っている」という意味です。
人は求めれば求める程に満たされない欠乏感を抱いてしまいますが、
「すでに満たされている」と考えられれば、同じ景色も違って見えるのではないでしょうか。
1LDKで床面積21.4坪。
暮らしに必要な機能が全て盛り込まれた、最小であり最大の家です。
庇でカバーされたデッキスペースは家の中の様な、外の様な曖昧な空間です。
季節の風や香りを感じながら、心の赴くままに目の前の景色を楽しむ。
そんな穏やかな森の暮らしを満喫できます。
キャンプには暮らしの原点が詰まっています。
テントを張り、火を起こし、食事を作る、、、
様々なことが便利になった現代ではこういったシンプルなことが特別に感じます。
無駄をそぎ落とす程に人と環境との距離が近くなるように思います。
暮らしをミニマムに考えると小さな2階建てになりました。
ハイド(野鳥を観察するための小屋)の様にひっそりと、
うねる地面にピンポイントで打つ楔の様な家です。
窓辺を中心に据えた暮らしは、時間の流れや季節の移り変わりに敏感になります。
日々のちょっとした変化に気が付く幸せ、ミニマムな暮らしにはそんな魅力があります。