学生時代に読んだ建築家・青木淳著書の「原っぱと遊園地」。
空間には大きく2種類の質があるという考えが分かりやすく、
今でも設計の際に思い返すことがあります。
「原っぱ」とはその名の通り物を置かず広々とした空間のこと。
用途を限定せず多目的に過ごすことができます。
一方で「遊園地」とは目的のために作り込まれた空間をいいます。
その場所でどう過ごすかがある程度決まっていて、
居心地の良さや素材の統一感など追求できます。
例えばリビング空間。
最小限の家具で自由に過ごしたいオーナーと、
TV、薪ストーブ、家具配置までしっかり考えたいオーナーとでは全く違ったものになります。
ライフスタイルによって空間も大きく変化していきます。
橋爪@PDO
先月、湯河原にある万葉公園を訪ねました。
温泉街らしい街並みとは一線を画したシンプルな建築が施設の顔です。
あえてモノトーンで無機質、直線的な構成で自然との対比を狙っている印象です。
渓谷沿いの遊歩道はコンクリート製でウッドデッキも黒。
環境との対比をさらに強調させています。
建築は物と物との関係から必然性を読み取り、空間を作っていく行為でもあります。
完成後はその場所の持つ歴史や積み上げられた雰囲気の一部になっていきます。
今回、第一印象ではその必然性を感じませんでした。
しかし、先入観を良い意味で裏切られたワクワク感がありました。
まるで現代アートの様に景色を違った角度から楽しめたのです。
ディテールを見ると建物は岩に食い込み、デッキもくり抜かれたりと、
強引ではありますが自然に沿わそうという意図を感じます。
PDOとは違った着想やアプローチに刺激を受けました。
橋爪@PDO
Ca Houseを建築実績に公開しました。
森の海に浮かぶリビングのある家です。
先が見えないコロナ禍ですが、いずれ落ち着いたとしてもリモートワークは続けるという方は多いようです。
働き方が変わり、定住、別荘関わらずワークスペースがほぼ必須となりました。
LDKの一角、寝室の窓辺、吹き抜けに面して、完全個室など、家族構成や働き方によって求められる条件は異なります。
「ワーク」と「バケーション」を組み合わせた「ワーケーション」という造語もありますが、
都会とリゾートの大きな違いは窓から見える景色です。
明るく気持ちの良い環境の中で集中したりリラックスしたり、
自分らしく働く環境を作ることができます。
橋爪@PDO