日本では手付かずの森(原生の森)はブナが主体の広葉樹の森か、
タブやシイが主体の照葉樹の森に大別出来ます。
しかしながら、そのような森はもはやほんの一部にしか存在しません。
なぜなら、人が健康に暮らすためには原生の森はあまりに暗すぎるからです。
土地に自生している植物は多くの情報源です。
きれいな土におおわれていて雑草すらなかったり、
樹の根元が土でおおわれ露出していなかったりしていたら、
土地本来の地面に何らかの理由で他から土を運び入れたことを意味します。
① 雑草だらけ。
一年草なのか多年草なのかが重要です。基本的に木がまったくない土地は要注意です。
また、雑草でもある特定の範囲が違う種類が繁茂していたら、
そこは古い住居の撤去あとであったりします。
② 地面や樹の根元がコケで被われている。
霧が発生しやすいエリアであったり、流れ込む水の影響で地面付近が湿潤状態であることを意味します。
③ クルミ林
クルミは水が大好きで寿命の短い木です。敷地に一本でもあれば要注意です。
列をなして自生していたらほぼ間違いなくその下には水脈があります。
巨木となるミズキ、ハルニレ、ケヤキなどは同様に豊富な地下水を好みますが、
クルミが自生するエリアと同居はしません。
伏流水の多い敷地は設計上の配慮が欠かせません。
④ 赤松、植林唐松、白樺
伏流水は少なく乾燥していますが、土地に養分が少なく皆伐採後の二次林です。
寿命が短く60年生あたりが限度で立ち枯れします。
また、最近は松枯葉病が範囲を拡げてきており若くても枯れていきます。
立ち枯れした木は倒れ家屋を損壊させますので建築に際し伐採が必要です。
⑦コナラ、カエデ、クリ、ケヤキなどの高木からマユミ、ヤマボウシ、ツリバナなどの中木
土地に養分が多いので皆伐採後の二次林であるが、豊かな植生です。
建築に際し最小限の伐採にとどめましょう。
⑤ ブナ、ミズナラ、ダケカンバ、コメツガなどの高木からタモ、ヤマボウシ、カエデなどの中木、アセビ、ニシキギ、ツヅジなどの低木あり。
潜在植生の貴重な森です。一千年をかけて育まれた森です。
こうした森に家を建てるのはやめましょう。
建築に際しいくら木を大切にしたくても建物に近接して木を残すと後々困ったことになりますので注意が必要です。
幹が屋根を覆うようになることが予想される樹は残念ですが原則として伐るべきです。
それでも折り合いをつけて同棲する場合もあるでしょう。
写真は「欅3兄弟の家」です。
どんなに配慮しても建築行為で樹の健康は損ねます。取り戻すには
それなりの年月が必要となります。